兜のささやき兜のささやき

第136話 初詣と株

2019.01.02

株の神様から投資の極意を教えてもらっているTさんは、お金の話は社会に出てから大切なので、家族にもその内容をわかりやすく伝えています。今では、奥様のA子さん、高校生の長女Y、中学生の長男Sも投資に興味を持つようになりました。新年明けて、鎌倉の鶴岡八幡宮に家族で初詣に出かけていますが、駅のホームが混雑しているようです。


S:すごい人の数だね!

Y:ホームから人が溢れそう。

A子:2人ともそんなに端の方を歩いて、ホームから落ちないように気を付けてよ!お正月から事故なんてことになったら、何のための初詣だか。

T:次の電車が入る時には特に気を付けてね!電車と接触しての人身障害事故は減っているとはいえ、全国で1日1件程度はあるんだよ。今日のような日は特に危ない。

Y:へぇー、駅のホームでの事故って、減ってるんだ。何となく増えているイメージだったけど。減っているのはいいことね。

T:国土交通省が、2011年から駅ホームでの転落防止対策の一つとしてホームドアの設置を促進している効果が出ているようだよ。

S:鎌倉駅にはまだ無いんだね。

T:1日の利用者が10万人以上の駅を優先しているそうだよ。国交省は東京五輪・パラリンピック開催を睨んで、2020年度までに800駅へのホームドア設置を目標としてきたんだけど、目標を上回るペースで進んでいるようだ。

A子:あら、じゃあホームドア設置関連は成長分野ね!どんな投資先があるのかしら?

Y:最近ママはパパ以上に、伸びそうな会社に興味あるわね(笑)

T:まず、鉄道会社はあるよね。鉄道会社は、子会社等を通じて、線路のメンテナンスや防災・耐震補強工事といった土木事業を展開しているけど、ホームドアの設置工事も手掛けている。ホームドアの軽量・簡素化などを図り、本体機器や設置工事費用等を低減できる取り組みもしていて、成長が期待できる。

Y:鉄道の会社が強そうだけど、他にライバルはいるの?

T:産業用ロボットの関節として使用される精密減速機の世界大手メーカーが、ホームドアの製造も手がけている例があるよ。広島高速交通や東京メトロ南北線、ゆりかもめ、横浜新都市交通金沢シーサイド線など納入実績は豊富だ。

S:パパ、すごい、詳しいね!

T:(息子に持ち上げられて少し嬉しそうに)鉄道・交通信号が主力の会社で、従来のホームドアの課題を解決する『昇降式ホームドア』を鉄道会社等と共同開発した会社もあるし、総合重機メーカーの国内最大手の子会社で、車両のドア位置に応じて開く位置が変えられるタイプのホームドアを開発した会社もあるよ。

Y:いろいろ、工夫して面白いね!

T:JRは地域によって違うし、私鉄もあるし、大手から周辺分野の企業まで、いろんな会社が知恵を絞ってより安全なものの開発に取り組んでいる印象だね。

A子:2020年の東京五輪・パラリンピックに続いて、25年には大阪で万博(国際博覧会)開催も決まって、海外も含めた観光客が増えるから、鉄道利用客の安全対策はますます大事になるし、ホームドア関連企業は今年の注目分野かもしれないわね。 家に帰ったら早速チェックしないと。

S:ママ、まだ家に帰るどころか、八幡宮に着いてもいないよ。

Y:ママは神様だのみじゃないみたいだから、初詣、必要ないかもね(笑)

(この項終わり。次回1/9「外国人労働者受け入れと注目業界」を掲載予定)

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