第482話 製薬会社の”花形”が大幅減少 医薬品業界で起こっていることとは?
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内にあるカフェでコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。
神様:Tさんは、MRという職業をご存知ですか?
T:はい。MRは、製薬会社の営業職のことですよね。
神様:正確には、MRとは医薬情報担当者(Medical Representatives)のことを言います。製薬会社で営業や広報としての役割を持ちながら、自社の医薬品が安全で効果的に使われるように医師などの医療従事者に対して情報提供を行い、あわせて医療現場からの情報収集を行います。MRは担当する病院や薬局などを訪れて面談し、医療従事者との信頼関係を構築することが重要な仕事です。
T:かつては製薬会社の花形と言われ、専門性が高い上に激務なイメージもありました。高収入ですが、なかなかきつい仕事だと聞いたことがあります。
神様:その花形のMRの環境に大きな変化が訪れています。公益財団法人MR認定センターが公表する「MR白書」によれば、MRの数は2014年あたりから年々減少を続け、2024年度は2013年度の7割弱まで減少しています。

T:何が要因なのでしょうか?
神様:最も大きな要因となったのはコロナ禍です。コロナ禍ではMRの訪問を制限する医療機関も多く、MRは医師をはじめとした医療従事者と対面で会えなくなりました。加えて医師の働き方改革の影響もあるでしょう。医師の労働時間が制限され、MRと会う機会は減少しました。
T:なるほど。これまでの仕事の仕方が大きく変化してしまったわけですね。そうすると、MRの仕事はオンラインにシフトしたのでしょうか?
神様:その通りです。リモート面談やウェビナーなど、オンラインを活用した情報のやり取りが活発になり、現在も増加し続けています。医薬品マーケティングのデジタル化は、現在製薬業界で最も注目されている分野と言えるでしょう。医薬品マーケティングとは、製薬会社が顧客のニーズを満たすために製品価値を最大化する取り組みのことを言います。医療従事者や患者のニーズを把握するために市場調査を行い、その分析に基づいて医薬品の研究・開発を実施します。そうして開発した製品について、医療従事者に理解を深めてもらい、選んでもらえるよう情報を提供します。
T:これまではその理解を深めてもらえるよう情報提供するところをMRが対面で担ってきたわけですが、オンラインで十分なのでしょうか?
神様:いい質問ですね。当然、製薬企業ではデジタルマーケティングを使いこなす必要が出てきます。例えば、マーケティングではCRM(Customer Relationship Management)と呼ばれる顧客との関係をマネジメントする手法やツールがありますが、デジタルツールの積極的な活用が求められます。しかし、それだけでは十分とは言えないでしょう。最終的に大切なのは顧客と良好な関係を作ることです。製薬会社にはリアルとデジタルを掛け合わせたマーケティングが求められています。
T:マーケティング手法がより多様化・高度化しているわけですね。
神様:製薬業界では創薬の高度な専門化により研究開発コストが年々増大しています。また、新薬承認には高い壁がある苦しい状況に置かれています。企業収益のことを考えれば、有効性が十分にあり、副作用も少ない薬として選ばれる第一選択薬のポジションを確立することが非常に重要となっています。
T:第一選択薬を獲得できるのとできないのとでは、収益が大きく変わってくるのでしょうね。そのポジションを獲得するためにも医薬品マーケティングがますます重要になっているということですが、そのような多様化・高度化したマーケティング手法に対して、製薬会社は独自で十分に対応できるものなのでしょうか?
神様:おっしゃる通りです。製薬会社独自には対応しきれない部分については、マーケティングサービスを提供する企業に頼ることとなるでしょう。グローバルインフォメーションによれば、医薬品マーケティング市場は年平均成長率8.8%で成長し続け、2032年には361億ドルの市場規模に成長すると予測されています。激化する医薬品開発競争の中、医薬品マーケティングの関連企業にとっては大きなチャンスとなるでしょう。

(この項終わり。次回2/4掲載予定)
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