第481話 AIニーズは「学習」から「推論」へ メモリ価格高騰で注目の市場とは?
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内ホテルのラウンジで投資談義を行っています。
T:2026年、年始から株価が上昇しています。日経平均株価は1月13日より連日で高値の取引となり、14日には一時5万4000円台を超えて取引期間中の最高値を更新しました。
神様:報道によれば、高市首相は衆議院を解散する意向を与党幹部に伝達したとのこと。早ければ2月上旬にも総選挙が行われる予定です。
T:政治の動向が株価にも影響を与えているようですね。
神様:高市首相の政策に連動する形で株高、円安、債券安が進む、いわゆる”高市トレード”がここへ来て再び加速しています。選挙中の動向も注目されるでしょう。
T:国民や経済界の期待が大きい高市政権ですが、物価高対策など実のある政策がどれだけ実施されるか、2026年は大いに注目の年となりそうですね。
神様:おっしゃる通りです。さて、今日は半導体市場の話をしましょう。いま、半導体市場にとある変化が訪れています。昨年の後半からPC向けを中心としたメモリ価格が上昇しているのをご存知ですか?
T:そんな噂を聞いたことがあります。メモリ価格高騰の影響で、PC本体の価格もかなり上昇しているようですね。一体何が起こっているのでしょうか?
神様:メモリ価格高騰の要因は、生成AIブームにあります。生成AIの隆盛によりAIやデータセンター需要が高まっていることはこれまでもお伝えしてきました。大量にデータを処理するデータセンターの新設や、AI処理に特化したHBM(広域帯メモリ)の需要が拡大したことが要因のひとつです。
T:HBMとは、PCやスマートフォンのメモリに使用されるDRAMを縦に重ねて小型化かつ省電力化したものでしたね。生成AIにとって欠かせないメモリでした。
神様:HBMはDRAMですが、実はNAND型フラッシュメモリの価格も上昇しています。

T:NAND型フラッシュメモリとは何でしょうか?
神様:NAND型フラッシュメモリは、電源を切った状態でもデータが消えない「不揮発性メモリ」のひとつです。PCなどでデータの蓄積に使用され、HDD(ハードディスクドライブ)より高速で故障に強いと言われるSSD(ソリッドステートドライブ)もNANDです。足元のNAND市場の中心となっているのは3ビット/セル(TLC)と言われるもので、2025年の年初から11月まで契約価格は実に2倍を超える上昇を遂げています。
T:DRAMは電源を切るとデータが消えてしまう「揮発性メモリ」ですが、生成AIの処理で求められるメモリはHBMに代表されるようなDRAMが中心ではないのですか?
神様:生成AIの普及にともない、AIデータセンターにも新たな変化が訪れています。これまでのデータを蓄積し整理する「学習」から、問い合わせに回答するための形に整える「推論」でデータの蓄積、高速処理を行うニーズが出てきています。NANDはデータ処理速度に優れ、低遅延、省電力などの特徴があり、今後の推論のニーズに応えると見込まれているのです。
T:なるほど。「学習」から「推論」へ。AIの進歩が止まりませんね。
神様:現在のNAND市場は、メモリセルを立体的に積み重ねる3D-NANDが主流です。NANDを積層化することで大容量化、高速化、高耐久性などを実現しています。製造において最も重要なのが「エッチング工程」ですが、半導体製造の現場では、加工スピードや精度の高さなどから「極低温エッチング」の導入が進んでいます。日本の企業には、このような半導体エッチング装置などで世界トップクラスの技術を持った企業が多数あります。
T:これは期待が高まりますね。
神様:グローバルインフォメーションによれば、世界の半導体エッチング装置市場は2025年に256.1億ドルと推定されています。今後は年平均成長率7.6%で拡大し、2030年には369.4億ドルに成長する見込みです。関連企業の活躍に期待しましょう。

(この項終わり。次回1/28掲載予定)
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