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第488話 レアアース・レアメタルの輸入依存を解消「都市鉱山」に注目集まる

2026.03.11

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内にある喫茶店で投資談義を行っています。


T:米国とイスラエルは2月28日、イランへの攻撃を実施したと発表しました。紛争は続いており、中東情勢の緊迫化により日経平均株価も大きく値下がりしています。

神様:報道によるとイラン側はホルムズ海峡を封鎖したとのことです。ホルムズ海峡はペルシャ湾の入口にあり、中東のエネルギー輸送の要衝です。日本も中東の原油や液化天然ガスを運ぶタンカーはホルムズ海峡を通り、海峡封鎖の影響が懸念されています。

T:高市総理は国会で、石油の備蓄は254日分あると述べ、エネルギーの輸入価格が上がってもただちに電気やガス料金に影響するわけではないと説明しましたが、海峡封鎖が長期化すれば、日常生活への影響は避けられないのではないでしょうか。

神様:日本は9割以上の原油を中東に依存しています。国内の物価や生活にも大きな影響が出る可能性は否めません。資源の乏しい国の宿命とも言えるでしょう。

T:国際情勢に左右されず、石油やガスなどを安定的に供給する「エネルギー安全保障」が、こういう時に大切になってきますね。

神様:おっしゃる通りです。エネルギーだけでなく、レアアースなどの資源についても同じことが言えます。日本の産業界では、最先端の電子機器への使用が欠かせないレアメタル(希少金属)やレアアース(希土類)などを、特定の外国からの輸入に依存しています。有事の時でも安定的にこれらの資源を確保する「経済安全保障」の推進が求められます。

T:レアアースと言えば、今年の2月に日本の地球深部探査船「ちきゅう」が快挙を成し遂げましたね。南鳥島の近海において、世界で初めて水深約6000メートルの海底からレアアースを含む泥の回収に成功しました。今後が楽しみです。

神様:レアアースの国産化に向けた大きな一歩です。日本は四方を海に囲まれ、世界で6番目の大きさとなる領海・排他的経済水域(EEZ)を持ちます。海に眠る鉱物資源は日本にとって大きな「宝の山」です。ところで、日本にはもう一つ宝の山があります。「都市鉱山」です。

T:都市鉱山?都市の中に鉱山があるのですか?

神様:都市鉱山とは、携帯電話に代表されるように、都市で大量に廃棄される使用済みの家電製品や電子機器の中に存在する再利用可能な金属資源のことを言います。実際に鉱山があるわけではありません。

T:なるほど。確かに宝の山ではありますね。海には海底鉱山が、地上には都市鉱山があるわけですね。

神様:独立行政法人物質・材料研究機構によれば、日本に蓄積されている地上の金属資源の量を世界全体の現埋蔵量に占める割合でみると、鉄が1.62%、銅が8.06%、銀が22.42%、金が16.36%、タンタル10.41%、リチウム3.83%などと試算されています。

T:タンタルとは何でしょうか?

神様:タンタルとはレアメタルの一種です。耐食・耐熱性が高く、スマホやゲーム機などの電子機器、航空宇宙機器、医療機器などで欠かせない素材として活用されています。

T:それが日本の都市鉱山の中に世界全体の埋蔵量の10%超もあるのですか?それなら資源に困ることもありませんね。

神様:その一方で、都市鉱山は眠ったままでもあるのです。携帯電話などの回収状況は停滞しています。回収後に資源化される割合を示す「マテリアルリサイクル率(資源化率)」は、電気通信事業者協会が自主目標としている70%を超えています。一方でリサイクル目的で回収された端末の割合を示す「回収率」は低調です。


T:つまり、回収されれば高い割合で資源化できますが、回収に至っていない資源が多いということですね。

神様:都市鉱山を生かすためにも、今後のリサイクル活動の認知度向上が必要です。経済安全保障が重要視される中、こういった資源を有効活用する企業の活躍が期待されるでしょう。

(この項終わり。次回3/18掲載予定)

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