兜のささやき兜のささやき

第489話 戦略17分野に位置付け 国家安全保障の要を担う防衛産業に注目

2026.03.18

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、海の見えるカフェでコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。


T:3月11日、中東情勢の悪化から原油価格が高騰していることに対し、石油備蓄の放出を表明しましたね。石油備蓄の放出は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻以来4年ぶりです。ガソリン価格や石油製品の価格高騰の抑制が期待されます。

神様:資源エネルギー庁によれば、昨年12月末現在の日本の石油備蓄は、国家備蓄が146日分、民間備蓄が101日分、産油国共同備蓄が7日分と合計で254日分あります。原油価格の急騰により、日経平均株価も大幅に下落しました。トランプ米大統領は一時、軍事作戦の長期化の可能性を示唆し、株式市場は一時的にネガティブな反応を示しました。しかし、過去を見ると、1991年の湾岸戦争や2025年のイラン核施設攻撃では攻撃開始日から40日前後に日経平均株価は15%程度上昇しました。今回も同様に長期化する可能性は低いと見られます。

T:ここは冷静に動向を注視したいですね。中東情勢の緊迫が予想の通り短期間で収束することを願います。

神様:とは言え、国際社会は今、戦後最大の試練の時を迎えています。2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻を始めとした世界情勢だけでなく、日本を取り巻く安全保障環境も複雑で厳しいものになっています。政府は2022年の岸田政権時、2027年度に防衛費をGDP比2%まで引き上げる目標を掲げました。そして、高市政権では防衛費についてGDP比2%の達成に向けた措置を講じると表明しています。2025年12月に成立した補正予算を含め、防衛費はGDP比2%達成する見込みです。

T:防衛費の増加は今後も続きそうですね。

神様:令和7年版防衛白書によれば、日本の防衛費は2003年度から2012年度まで10年連続で減少していました。しかし、2013年度からは13年連続で増加し、2023年度からは大きく伸びています。

T:2013年度は11年ぶりの防衛費増額となりましたが、その年は何があったのでしょうか?

神様:平成25年版防衛白書を見ると、「北朝鮮が核・弾道ミサイルの開発を推進」「周辺国による軍事力の近代化および軍事的活動の活発化が継続」「中国による領海侵入および領空侵犯を含む活動の活発化」「東日本大震災の経験により大規模災害に対する備えの重要性の認識」が挙げられています。

T:なるほど。震災の影響もあったのですね。

神様:地政学リスクの高まりとともに、日本は今後も世界に協調して防衛費増額を進めていくでしょう。2025年6月、北大西洋条約機構(NATO)加盟国は関連費用も含め国防費を2035年までにGDP比で5%に引き上げる目標に合意しました。日本では高市政権が防衛産業を戦略17分野と位置付け、総合的な支援策によって防衛力を抜本的に強化することを表明しています。今後も世界的に防衛費の増加が見込まれます。

T:投資の観点から防衛費増額で注目する企業と言えば、やはり防衛産業ですか?

神様:おっしゃる通りです。防衛費の増額は防衛装備の増強につながります。防衛産業の関連企業にとっては大きなチャンスです。また、防衛装備移転三原則における5類型の運用指針の見直しを高市首相に提出しました。撤廃されれば防衛装備品の輸出が可能となります。

T:防衛装備移転三原則とは何でしょうか?

神様:日本では武器の海外移転に関して、1967年に「武器輸出三原則」が国会で答弁され、慎重に対処することを基本としてきました。しかし、安全保障環境の変化から2014年に見直しが行われ、それに代わるものとして策定されたのが「防衛装備移転三原則」です。移転を禁止する場合の明確化、移転を認め得る場合の限定並びに厳格審査及び情報公開、目的外使用及び第三国移転に係る適正管理の確保の3つの原則で成り立っています。さらに、令和5年12月に政府は「防衛装備移転三原則」及び「防衛装備移転三原則の運用指針」の改正を行いました。これは防衛装備品の輸出を非戦闘目的の「5類型」に限定するものですが、高市政権はその5類型を撤廃する方針です。

T:武器輸出をめぐる状況がめまぐるしく変化している元で、国家安全保障の要を担う防衛産業への注目が高まりそうですね。

(この項終わり。次回3/25掲載予定)

投資・相続のご相談は
いちよし証券へ

全国の店舗にて、お客様の資産運用や相続についてのご相談を受け付けております。
お客様の人生設計に寄り添いながら、最適なご提案を行います。

PAGE TOP
PAGE TOP