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第494話 JR東、約40年ぶりの運賃改定 注目は「鉄道保守工事」

2026.04.22

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、海の見えるカフェでコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。


T:厚生労働省が4月8日に発表した2月の毎月勤労統計調査によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は1.9%増となりました。これで2カ月連続のプラスです。

神様:政府による電気代やガス代の補助が影響しているようです。中小企業等での賃上げも進んでいると見られます。医療機関では、6月の診療報酬改定で職員の賃上げや物価上昇への支援が図られるほか、令和7年12月分~令和8年3月分賃金については一時金や特別手当という形で支援金が支給されています。大企業だけでなく、さまざまな職種で賃上げが実施されつつあります。

T:それはうれしいですね。賃金が増えることで物価上昇に対し少しでも生活を楽にしたいです。しかし、イラン情勢及びホルムズ海峡の動向は依然として不透明で不安です。原油価格の高騰や原油から精製されるナフサ価格の高騰による影響も出始めています。実質賃金のプラスも一時的なもので終わる可能性もありますよね。

神様:おっしゃる通りです。今後の動向に注視しましょう。さて、値上げと言えばJR東日本は3月14日、約40年ぶりとなる運賃改定を発表しました。平均で7.1%の旅客運賃の値上げです。特に東京の「山手線内」と呼ばれていた、山手線とその内側に当たるエリアでは、普通運賃で16.4%の値上げとなっています。

T:これは驚きました。これまで東京-新宿間が210円だったのが、改定後は260円に値上げです。通勤定期では平均22.9%の大幅値上げだそうで、これまで比較的安く乗れた山手線内側のJRの乗り方が変わってくるかもしれませんね。

神様:JR東日本の運賃改定のお知らせページでは、今回の運賃改定の理由や背景について丁寧に説明がされています。一度確認してみると良いでしょう。今後は、鉄道の保守が重要になってきます。

T:というと、どういうことでしょうか?

神様:まずは国内鉄道旅客数の推移を見ましょう。国内鉄道旅客数は、コロナ禍で大幅に減少しました。その後少しずつ回復していますが、2024年度の利用客数を見ると定期外の利用客数はコロナ禍前の水準をほぼ回復している一方で、定期利用客数は依然としてコロナ禍以前の水準に回復していません。

T:なるほど。リモートワークなど働き方が多様化していますから、定期利用者数の回復は鈍いわけですね。

神様:その通りです。これは鉄道会社にとってコロナ禍前後での大きな変化です。鉄道各社はコロナ禍で設備投資を抑制していましたが、近年は業績の回復とともに設備投資を増加させています。設備投資増で沿線地域の活性化などを行うことで、運賃収入の維持や増加を狙っているのです。

T:各社としては定期収入の減少分を何とか補いたいところですね。

神様:それだけではありません。エネルギー価格や物価の高騰による経費の増加もあるでしょう。少子高齢化による人口の減少は、利用者の減少だけでなく鉄道事業に関わる人の確保も難しくしています。待遇改善や労働環境の改善も求められます。

T:確かにそうですね。

神様:中でも、特に重要なのが鉄道を安全に運行させることに関わる部分です。安全な鉄道運行のためには安定的な投資とメンテナンスが必要です。また、鉄道設備の老朽化も進んでいることから修繕費なども年々増加しています。激甚化する自然災害への備えも大切です。

T:だから鉄道の保守工事が重要になってくるのですね。今回の約40年ぶりの運賃値上げによる収入も、こうした安全運行に関わる部分に使われるようですね。

神様:鉄道各社による人手不足に対応した投資や安全対策は一朝一夕で完成するものではありません。今後は運賃改定を原資に更なる設備投資額の増加が見込まれます。鉄道関連の設備、駅舎の工事を担う企業などにとっては大きなチャンスとなるでしょう。鉄道会社からの受注が増加し、業績向上につながることが考えられます。

T:鉄道は欠かせない交通インフラです。保守工事を通して、より安全で便利なサービスになってほしいですね。今後に期待します。

(この項終わり。次回4/29掲載予定)

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