第493話 「ムーアの法則」はまだ続く?最先端半導体を支えるEUV技術に注目
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内のカフェでコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。
T:イラン情勢の動きに世界の注目が集まっていますね。その影響で日経平均株価も動きが激しくなっています。
神様:米国とイスラエルがイランに対して大規模な軍事攻撃作戦を開始したのが2月28日でしたから、およそ1カ月が経過したことになります。原則論として、米国の「戦争権限法」では、議会の宣戦布告や承認を得ていない軍事行動は60日以内に終了しなければならないと定められています。攻撃を継続する場合には戦費を賄う必要も出てきます。5月14日から15日にはトランプ大統領が中国を訪れ、米中首脳会談が予定されています。
T:依然として不安定ですが、早く事態が収束することを願います。
神様:さて、今日は半導体の話をしましょう。世界のデータ量は爆発的に増加しています。これまではスマートフォンなどの普及によりデータ量が増加してきました。そして、半導体市場もデータ量の増加とともに大きく成長してきました。

T:現在は生成AI需要によるデータ量の増加、またそれに伴う半導体市場の拡大が見込まれますね。生成AIのためのデータセンター需要の高まりでメモリ価格も高騰が続いています。
神様:おっしゃる通りです。AI関連事業は今後さらに進化していくでしょう。それに伴いデータ量の増加も加速していくことが予想されます。ところで、以前「ムーアの法則」が限界に近づいているというお話をしました(第397話 「モア・ザン・ムーア」へ進む半導体 後工程の重要性増す)が、覚えていますか?
T:ムーアの法則とは「18カ月ごとにトランジスタの集積密度が倍増する」という、ゴードン・ムーア氏による経験則でしたね。半導体の現場では、微細化が難しければ他の方法で性能を高める方法を模索する「モア・ザン・ムーア」が進められているとのことでした。
神様:その一方で微細化を追求する開発姿勢は「モア・ムーア」と呼ばれます。その一つが、EUVリソグラフィ技術と呼ばれ、現在注目されています。
T:EUVとは何でしょうか?
神様:EUVとは「Extreme Ultraviolet(極端紫外線)」の略で、従来半導体の製造に使われた光源よりも波長が短く、より微細な回路の形成が可能です。現在、7nm以下の最先端半導体を製造する際は、EUV技術が使われています。「リソグラフィ」とは半導体のシリコンウェーハに回路パターンを転写するための微細加工技術を言います。
T:まだまだ微細化も追求できる、ということですね。
神様:ただし、難易度が上がっています。EUVは波長が短いために空気中やガラスを透過できず、吸収されてしまう特徴があります。回路を形成するため、EUVの通り道を真空状態にしなければなりません。技術的難易度が非常に高く、現在EUV露光装置を製造しているのは世界で1社のみです。
T:1社ですか?どこの企業でしょうか?
神様:オランダのASMLという半導体製造装置メーカーです。
T:日本企業に活躍の場はないのでしょうか?
神様:実はEUV露光装置以外のEUV向けの製品も高度な技術が必要で、製造企業が限られます。フォトレジスト、マスクブランクス、コータ/デベロッパなど、EUV露光装置に欠かせない部品・材料は日本企業が多く提供しています。
T:それは素晴らしいですね。
神様:経済産業省によれば、2022年では7nm以下の半導体の需要は7兆円でしたが、2030年には53兆円に拡大すると予測されています。今後も生成AIが半導体の微細化をけん引していくでしょう。

T:ムーアの法則はまだ続くのか――ぜひとも日本企業にも活躍してほしいですね。 (この項終わり。次回4/22掲載予定)
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