第499話 エアコンメーカーに特需も?「エアコンの2027年問題」とは
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内の喫茶店でコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。
神様:今年の夏も厳しい暑さとなりそうですが、エアコン業界では来年2027年に大きな動きがあります。Tさんは「エアコンの2027年問題」をご存知ですか?
T:エアコンの2027年問題?一体2027年に何が起こるのでしょうか?
神様:簡単に説明すると、2050年カーボンニュートラルに向け、家庭用エアコンの省エネ基準が2027年4月に大幅に引き上げられるのです。
T:なるほど。省エネ基準が変わるということは、これまで使ってきたエアコンは使えなくなるのでしょうか?
神様:いいえ。今使用しているエアコンを買い替える必要はありません。経済産業省では、家電製品や自動車など、エネルギーを消費する製品の省エネ性能を向上させるべく「トップランナー制度」を設けています。これは消費者ではなくメーカー・事業者に対して省エネを促すものです。経済産業省はメーカー・事業者にエネルギー消費効率の目標を示し、併せてエネルギー消費効率の表示を求めています。
T:エネルギー消費効率とは何でしょうか?
神様:エネルギー消費効率とは、消費電力などの投入したエネルギーに対して、どれだけ効率よく能力を発揮できるかを示す指標です。エアコンの場合は通年エネルギー消費効率(APF)と呼ばれる、1年間を通してある一定条件のもとにエアコンを運転したときの消費電力1kWあたりの冷暖房能力が用いられます。この能力が高いエアコンほど省エネ性能が高いということになります。新しい基準の適用でメーカー各社には最大で約34.7%のエネルギー消費効率(APF)向上が義務付けられます。
T:34.7%ですか。そうすると、これまで製造してきたエアコンは販売できなくなるのですか?
神様:いいえ。トップランナー制度は個別の製品ではなく、メーカーごとに製品全体で基準値を達成することを求めます。2027年度以降に基準値を満たさないからといって製品の製造や出荷を禁止するものではありません。ただ、現行の技術水準では基準に達しない格安モデル、シンプルモデルはやがて順次製造・販売の継続ができなくなる可能性は高いと言えるでしょう。
T:省エネ性能が高くなると、当然それだけエアコンの値段も高くなりますよね?
神様:おっしゃる通りです。規制強化への対応のためには、高性能な部材を使用し、開発コストも増加します。コストの増加はエアコン本体の市場価格を上昇させます。また、ホルムズ海峡の混乱による原油供給の不安定化もあり、エアコンの製造コストそのものも上昇基調にあります。
T:エアコンを安く買おうとして2026年中の駆け込み需要もありそうですね。そう言えば、今年の夏はエアコン取付工事が多く、業者を捕まえにくいという話を耳にしたことがあります。

神様:気持ちはわかりますが、そこはよく考えなければいけません。確かにエアコン本体の購入価格は上がりますが、省エネ性能が高いエアコンを購入すれば年間を通したエアコンの光熱費は削減されます。家庭用エアコンの寿命は10年から15年と言われています。例えば1年間で2,760円光熱費が削減されれば、14年間では約4万円の削減になります。

T:初期投資は高くなる一方で、長期的にはランニングコスト、つまり電気代は大幅な削減効果が期待できるわけですね。
神様:古いエアコンは故障するリスクも高くなります。東京都では、65歳以上等の条件で長期使用家電の買い替えを補助しています。こういった制度を上手に活用し、焦って今購入しなくとも2027年以降の新しいエアコンを購入すれば電気代を抑えることが可能です。こうしたことから、エアコン関連企業にとっては新規制に対応した特需が期待できます。
T:なるほど。エアコン商戦は来年が注目、ということですね。期待したいと思います。
(この項終わり。次回6/17掲載予定)
投資・相続のご相談は
いちよし証券へ
全国の店舗にて、お客様の資産運用や相続についてのご相談を受け付けております。
お客様の人生設計に寄り添いながら、最適なご提案を行います。


