第500話 工作機械受注が10カ月連続で増加 AI需要で成長局面へ
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、海の見えるカフェでコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。
神様:2026年に入り、工作機械の受注が好調です。5月26日に日本工作機械工業会が発表したところによると、2026年4月の工作機械受注額(確報値)は前年同月比で45.1%増となる1,889.7億円と、10カ月連続で増加しました。4月の受注額は3月の1,934.7億円に次ぐ過去2番目の記録です。

T:工作機械は「機械を作るための機械」とも言われますね。工作機械受注額では、自動車や航空機、家電など、さまざまな部品を加工して製品を作る機械を製造する企業がどれだけ受注しているかを知ることができます。したがって、工作機械受注額は企業の設備投資額の動向をいち早く知ることができる重要な指標となりますね。
神様:その通りです。さらに、工作機械受注額には国内の設備投資を示す「内需」と海外の設備投資のための受注を示す「外需」があります。2026年4月の工作機械受注額(確報値)では、内需が前年同月比で43.4%増となる492.9億円、外需は前年同月比で45.8%増となる1,396.8億円でした。
T:内需も外需も増加の割合は同じくらいなのですね。国内・海外ともに設備投資が大きく増えているのがわかります。設備投資が増えるということは、その分今後の生産活動が拡大していくことを示しますから、経済活動もより活発になり景気の動向にも良い影響を与えそうですね。
神様:おっしゃる通りです。この工作機械受注額や内閣府が公表する機械受注統計調査などは設備投資の動向を早期に把握することができるので、経済動向や景気動向を探るのには欠かせない情報です。
T:3月4月と工作機械の受注が好調なのは、何が要因なのでしょうか?
神様:大きな要因としては、世界的なデータセンターの建造ラッシュです。データセンターが工作機械の需要を喚起しています。国内(内需)では、データセンターの予備電源や冷却装置の循環ポンプ、バルブなどの加工需要が顕在化しています。データセンター以外では、自動車向けの工作機械でモデルチェンジに伴う需要が寄与しました。海外(外需)では、中国のデータセンター建造や風力発電向けの工作機械などに需要が拡大しました。
T:データセンターということはAI関連ですね。しかし、中東情勢などにより資材の調達価格の高騰もあると思いますが、特に影響はないのでしょうか?
神様:米国による追加関税や中東情勢の緊迫化を受けた原燃料価格の高騰などが影響しているかもしれません。法人企業統計によると、2026年1月から3月期における製造業の設備投資額は前年同期比で0.4%減となる6兆1,981億円でした。不透明な事業環境の中でも国内の設備投資については堅調に推移していると言えるでしょう。

T:すばらしいですね。
神様:今後は、特に政府が推進している「フィジカルAI」に注目です。
T:フィジカルAIとは、ソフト面だけでなく物理的な”身体”を持ち、実世界の中で活動するAIのことですよね。ロボットがAIという知能を持って活躍する世界がもうすぐそこまで来ているのですね。
神様:ロボットだけでなく、自動運転車や産業機械のAIなどもフィジカルAIの仲間に入ります。日本のような人口減少社会において、ロボットを始めとするフィジカルAIの活躍の場は計り知れません。フィジカルAIが本格的に普及する局面において、工作機械の需要は一段と拡大するのではないでしょうか。
T:フィジカルAIの普及により、これまで人間が行ってきた熟練の技もAIが学習してシステム化する機会となります。日本がこれまで培ってきたモノづくりの現場の”ノウハウ”が自動化されれば、“モノづくり日本”の新しい姿が見えてくるようにも思います。日本にとって、フィジカルAIはまさに重要なツールですね。
神様:工作機械は景気の指標としても重要ですが、AIのさらなる発展により工作機械関連の企業そのものも今後大きな成長局面を迎えるでしょう。これからの活躍に期待しましょう。
(この項終わり。次回6/24掲載予定)
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