第514話 世界のジャパニーズフードに注目 日本食は流行から定番食へ
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内ホテルのラウンジで投資談義を行っています。
神様:今日は日本食のお話をしましょう。海外では「Japanese food」(ジャパニーズフード)などの呼び名で親しまれていますが、Tさんは世界の日本食ブームは今何度目だと思いますか?
T:そう言えば日本食っていつから海外で親しまれるようになったのでしょう?
神様:最初の日本食ブームと言われているのが、1960年代後半から70年代以降の米国です。寿司が人気となったこと、米国で食生活の見直しが行われていたことから、日本食ブームに火がつきました。海苔が酢飯の内側に巻かれた「カリフォルニアロール」もこの時期に誕生したとの説があります。
T:なるほど。寿司ブームから始まったのですね。
神様:次にブームが訪れたのは、諸説ありますが2000年頃から2010年代にかけてのクールジャパンでしょう。2010年には政府が「クールジャパン戦略」を提示し、国を挙げての取り組みにもなりました。3回目はその直後、2013年に日本人の伝統的な食文化として「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。和食は、新鮮な食材とその持ち味を尊重する工夫、栄養バランスに優れた健康的な食生活、盛り付けや食器など自然の美しさや季節の移ろいが表現されることなど、自然を尊重する日本人の精神を体現した文化として認められました。
T:最初は寿司から始まり、続いて漫画やアニメとともに盛り上がり、3回目には日本人の姿勢、食文化そのものがブームにつながったのですね。ということは、今は4回目のブームですか?
神様:2013年以降、日本食は一時的な流行ではなく確固たるブランドを築き、もはや世界の定番食となりつつあります。2013年時点の海外における日本食レストランの数は約5万5,000店舗でした。その後店舗数は増え続け、2025年には約18万1,000店舗まで拡大しています。2025年は2024年と比べると6,000店舗の減少となっていますが、これは経済停滞の影響などで中国が前年比で1万5,000店舗の減少となった影響がありました。

T:ということは、中国以外ではむしろ増加していますね。
神様:おっしゃる通りです。インバウンドにより日本国内で日本食体験が行われ、日本食ファンが確実に増え続けているのです。帰国してからもジャパニーズフードを希求する意欲は衰えを見せません。
T:まさに流行から定番へ、というわけですね。
神様:さて、この海外における日本食レストランの店舗数の増加は、日本の農業にとって非常に重要です。日本からの農林水産物・食品の輸出額も増加傾向をたどっています。2025年は前年比で12.8%増となる1兆7,005億円で、主要輸出先国・地域のすべてで対前年比プラスを記録し、13年連続で過去最高を更新しました。高品質でおいしい日本食は日本独自の食材や商品、スパイス等のジャパニーズフードがあってこそ提供できるものでしょう。

T:なるほど。言われてみればそうですよね。海外に日本食レストランが増えることは、日本の農家が稼ぐ力を強化することにもつながるわけで、今後さらなる少子高齢化を迎える日本にとっては貴重な”お客様”になりますね。
神様:日本の農業は今大きな変化を迎えています。令和7年4月、政府は令和6年に改正された食料・農業・農村基本法に基づく初の食料農業・農村基本計画が閣議決定されました。環境の変化に対応し、生産基盤の強化、食料自給率・食料自給力の向上を通じて食料安全保障を確保するためには、水田政策を見直し、コメ輸出の拡大、担い手の育成・確保などを行う必要があります。農業経営の収益力を高めるためには付加価値の向上も重要です。
T:それが、日本食ブランドによる海外での稼ぐ力の強化ですね。
神様:2025年1月、政府は農林水産物や食品の輸出促進を目的とした関係閣僚会議を開催しました。「インバウンド消費の拡大」や「海外市場での販路開拓」などを政策の柱として掲げています。今後、日本の食材や食品、食文化を世界に広め、「海外から稼ぐ力」を発揮できるような、ジャパニーズフード業界には期待できそうです。
T:日本食が世界の定番食へとなりつつある今、レストランや農家だけでなく、日本食の素材や飲料などを扱う企業にも活躍が期待できますね。今後が楽しみです。
(この項終わり。次回10/7掲載予定)
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