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第513話 コロナ禍から回復傾向が続くタクシー市場 拡大の鍵を握るのは?

2026.09.16

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、公園で散歩しながら投資談義を行っています。


T:9月に入り、東京は連日のように雨が降っています。シルバーウィーク前後も雨のようですし、しばらくは傘が手放せませんね。

神様:雨が降ることで需要が増える業界と言えば、Tさんは何を思い浮かべますか?

T:雨で需要が増える業界ですか?わかりました、タクシー業界ですね。雨の日は仕事などで歩きや電車での移動が億劫になりますからね。ちょっとした距離でもタクシーに乗る気持ち、よくわかります。

神様:正解です。タクシーは雨が降ると需要が跳ね上がると言われていますが、タクシー市場も最近は拡大しつつあります。「一般乗用旅客自動車運送事業」と呼ばれるタクシー業界は、雨の日に限らず公共の重要インフラです。2024年度では年間輸送人員は約10億人、市場の総営業収入は約1.4兆円規模となっています。

T:タクシー台数は減少していると思っていましたが、タクシー市場は拡大しているのですか?

神様:正確に言えば、国内法人タクシーの輸送人員数と総営業収入は1989年度以降、2019年度まで右肩下がりの減少が続いていました。そして、さらに2020年のコロナ禍の影響で輸送人員、営業収入は大きく落ち込みました。その後は徐々に回復し、令和5年度には輸送人員数が10億人まで回復しています。しかし、コロナ禍以前の水準にはまだ届いていません。

T:最近はエネルギー問題や運転手不足もありますよね。タクシー業界も苦戦を強いられているのではないでしょうか。

神様:ドライバーや経営者の高齢化による後継者問題もあります。コロナ禍を機に廃業した事業者も多く、国内の事業者数、タクシー台数は引き続き減少傾向です。一方で、1人あたりのタクシー利用額は拡大傾向にあります。

T:それはなぜでしょうか?

神様:要因としては、大都市圏を中心に配車アプリが普及していること。それからインバウンド需要がタクシー利用の底上げに寄与していると見られます。

T:国内法人のタクシー運転者と車両台数の推移を見ると、コロナ禍以降で車両台数は減少していますが、タクシードライバーの数は横ばいで推移しています。これはどういうことでしょうか?

神様:例えば、大都市圏と地方の二極化があります。運賃改定やインバウンド需要により都市圏ではドライバー数が回復していますが、地方のそういった恩恵が薄い中小事業者では赤字経営が長引き、地域間や企業間での「経営の二極化」が問題となっています。また、配車アプリにより効率的な配車が可能となり、無駄な車両が少なくなったとも言えるかもしれません。

T:やはり配車アプリが業界にとって重要ですね。

神様:特に人手不足が深刻な地方においては、配車アプリは効率的なタクシーの事業運営の一助となります。配車アプリの普及状況を見ると、東京などの都市圏では配車アプリの利用割合は20%を超える一方で、地方ではわずか数%の利用率にとどまっているなど課題があります。2024年には日本版ライドシェアが一部解禁されました。今後は都市部だけでなく過疎地も含めた全域での供給力の維持と利用者の利便性の向上が業界の発展に寄与するでしょう。

T:日本版ライドシェアとはどのようなサービスでしょうか?

神様:タクシー事業者の管理の下で地域の自家用車・一般ドライバーを活用した運送サービスの提供が可能となります。利用には配車アプリを使います。配車アプリのデータを活用し、地域においてタクシーが不足する時期、時間帯や不足車両数を特定することで、地域住民や観光客の”移動の足”が不足する交通空白を解消することが目的です。

T:アプリ利用により蓄積されたデータが地域の課題を解決する、タクシー業界のDXとも言える施策ですが、成功させるためには地方での配車アプリの普及が鍵を握りますね。今後のタクシー市場のさらなる拡大に期待したいところです。

(この項終わり。次回9/30掲載予定)

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