TCFD提言に基づく気候変動への対応について
当社は、創業以来の取組みやこれを集大成した「いちよしのクレド」の考え方に基づき、証券業を通じ様々なステークホルダーとのエンゲージメントを重視して行動するとともに、持続的な企業価値の向上に取り組んで参りました。
より一層この取り組みを強化するとともに、サステナブルな社会の実現に貢献するための基本的な考え方として「サステナビリティ基本方針」を策定し、当社として取り組むべき課題を重要課題(マテリアリティ)として特定しておりますが、そのうち「社会のために」として「CO₂排出量削減への取組み強化」を掲げ、気候変動に取り組む社会の一員として貢献していきたいと考えております。
そして、この取組みを社内外に伝える気候関連財務情報開示の重要性を鑑み、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同し、これに基づく情報開示の拡充にも取り組んで参ります。
1.ガバナンス
当社は、業務執行の監督機能を有する取締役会の傘下に、サステナビリティ推進への取組みを企画・実行・検証・改善を行う会議体として「サステナビリティ推進会議」を設置しています。議長は執行役社長が務め、取締役会への定期的な報告を行います。事務局である「サステナビリティ推進室」は、専門部署として当社のサステナビリティ推進の中核を担います。
![運営体制](https://img.ichiyoshi.co.jp/ichiyoshi/pc/images/Sustainability/operatingsystem.png?v=20250117155152)
2.戦略
複数の気候変動の将来予測シナリオ(※1)を参照し、当社のサステナビリティに関する考え方やビジネスモデルにおいて気候変動がどのような影響を与えるかを検証いたしました。
気候変動が当社の事業に与えるリスクと機会のうち、リスクについては、低炭素経済への「移行」に関するリスクと、気候変動による「物理的」変化に関するリスクを想定し、想定される事態や影響についての評価を検討いたしました。また、機会については、「商品/サービス」、「市場」の側面を捉え、想定される状況や影響について検討いたしました。
検証の結果、リスクについては当社の事業や戦略に重大な影響を与えるものではないと認識しておりますが、状況変化を監視し定期的な検証を続けて参ります。
リスク
- 移行リスク
- 政策・法規制リスク
GHG排出規制の強化により、新たな税金の発生や既存エネルギー使用料金等の増加、または代替手段への移行に伴いコストが増加すること等が想定されます。短期から中期の期間(※2)での影響が想定され、環境に配慮したエネルギーの利用すること等による対応を検討して参ります。 - 市場リスク
投資家行動が低炭素経済に大きく急速に変化することにより、既存の商品・サービスが陳腐化し販売額が減少すること等が想定されます。短期から中期の期間での影響が想定され、リサーチやモニタリングを強化すること等による対応を検討して参ります。 - 評判リスク
低炭素経済の移行に対応ができず、評判の低下により預り資産や口座数が減少すること等が想定されます。長期での影響が想定され、サステナビリティ推進を強化すること等による対応を検討して参ります。
- 政策・法規制リスク
- 物理リスク
- 急性リスク
台風・洪水等の増加や激甚化により、当社施設やデータセンターなど関連施設の使用停止や復旧などの対応でコストが増加すること等が想定されます。中期から長期の期間での影響が想定され、事業継続計画(BCP)における各種対策を強化すること等による対応を検討して参ります。
- 急性リスク
機会
- 商品・サービス
低炭素経済を指向するお客様ニーズに合致した商品・サービスの提供により、預り資産・口座数が増加し、販売額が増加すること等が想定されます。短期から中期の期間での影響が想定され、引き続きグループの強みを活かしたリサーチ力、運用力、アドバイス力の強化、商品・サービスの開発力の強化を図って参ります。 - 市場
気候変動や低炭素に対して積極的に取り組んだ企業や当該企業を組み入れた投資信託への資金流入や株価・基準価額等の上昇による預り資産の増加等が想定されます。中期から長期の期間での影響が想定され、上記同様、引き続きグループ力の強化を図って参ります。
- 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、国際エネルギー機関(IEA)、気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)、気象庁が公表しているシナリオ・予想等を参照しています。
- 短期(0~3年)、中期(4年~10年)、長期(11年超)を想定しています。
3.リスク管理
気候変動関連リスクは単独で当社に影響を与えるのではなく、金融商品取引業者としての業務上のリスクに広範かつ複雑に関連することが想定されることから、当社の主要なリスクの一つとして全社的なリスク管理の協議機関である「リスク管理会議」にて管理を行います。リスク管理会議での協議の内容は「内部統制委員会」に報告され、同委員会での審議・検討を経て取締役会に報告されます。
具体的には財務的に影響があるリスクとして、低炭素経済への「移行」に関するリスクと気候変動による「物理的」変化に関するリスクを想定し、主にリーガルリスクやレピュテーショナルリスク、災害リスクの軽減を図ります。
4.指標と目標
サプライチェーン排出量に関する国際的基準であるGHGプロトコル等との整合を図るため環境省と経済産業省が策定した「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」に基づき、当社のGHG排出量(Scope1、2)を算出しました。この指標により気候変動のリスクと機会を評価し、当社の取組みの進捗状況などを測って参ります。
Scope1 | Scope2 | 合計 | |
---|---|---|---|
2022年度 | 430 | 824 | 1,255 |
2023年度 | 403 | 866 | 1,269 |
(注)算定の対象は当社及び連結子会社。社員寮は対象外としています。
温室効果ガスの排出削減に向けた取組み
![](https://img.ichiyoshi.co.jp/ichiyoshi/pc/images/about/img_foe_2023.jpg?v=20250117155152)
いちよしマングローブの森プロジェクト(2009年~)
気候変動被害を受けるコミュニティ支援プロジェクト(2015年~)
国際環境NGO「FoE Japan」への寄付を通じ、長年にわたりマングローブの植林・保全活動を支援しています。ブルーカーボン・シンク(CO2の吸収源となる海洋生態系)のひとつであるマングローブの再生は、ネガティブ・エミッション(大気中のCO2を貯留し除去すること)に貢献するものです。
これまでの活動状況は こちら をご覧ください。
![](https://img.ichiyoshi.co.jp/ichiyoshi/images/common/img_sustainability_society_society_edible_01.jpg?v=20250117155152)
本社ビル屋上菜園プロジェクト(2023年~)
「Edible KAYABAEN」のパートナーとして、子どもたちの自然活動を支援しています。緑豊かな屋上菜園には、ビオトープや潅水システム、コンポストなどが点在しており、自然に触れて、生物多様性を感じることのできるコミュニティ空間となっています。
活動の様子は こちら をご覧ください。
![](https://img.ichiyoshi.co.jp/ichiyoshi/images/sustainability/deco_eco.jpg?v=20250117155152)
デコ活宣言(2024/2)
当社は、環境省の推進する「 脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動 」(愛称:デコ活)の取組みに賛同し、「 デコ活宣言 」をしました。「 デコ活応援団 」(官民連携協議会)にも参画しており、一人ひとりが日々の生活や仕事の中で、デコ活アクションを実践してまいります。
◆ 当社で実施しているデコ活アクションの一例
(1)省資源・省エネルギー対策の取組み
① 照明の消灯、照度変更などによる節電
② 空調の温度管理、稼働時間の徹底による節電
― 照明や冷暖房は、必要なときにだけつけるようにしています。
![こまめな節電を呼びかける社内ポスター](https://img.ichiyoshi.co.jp/ichiyoshi/images/sustainability/switch off.jpg?v=20250117155152)
(こまめな節電を呼びかける社内ポスター)
③ 省エネルギー型OA機器の導入による省電力化
― その他にも適宜、LED照明や省エネ空調等への切替え(省電化装置の取付けを含む)を進めてまいります。
④ 社用車の変更
― 営業車両は、すべて低燃費車を採用(リース)しています。今後は一部ハイブリッド車への切替えを検討してまいります。
⑤ クールビズの実施(毎年5/1~10/31)
― 室内温度の設定を原則28℃に。服装は上着なし、ノーネクタイを認めています。
![清潔感のある身だしなみを再確認する社内ポスター](https://img.ichiyoshi.co.jp/ichiyoshi/images/sustainability/coolbiz.jpg?v=20250117155152)
(清潔感のある身だしなみを再確認する社内ポスター)
⑥ 勤務時間管理、出社時刻・退出時刻管理の徹底
― 2021年4月より、金曜日の定時退社を徹底しています。ワークライフバランスを充実させるための施策のひとつでもあります。
⑦ 省エネビルへの店舗の移転
― 店舗の移転検討にあっては、移転先における省エネルギーシステムの導入状況等も勘案しています。例えば、西宮支店(2023年10月に移転)の入居する阪急西宮ガーデンズプラス館では、建物内の日射負荷低減による照明や空調負荷の軽減、環境配慮型製品の活用(オフィス階のリサイクルカーペットなど)、再生可能エネルギー由来の電力の導入といった取組みを行っています。
⑧ その他
― ふんわりアクセルやアイドリングストップなど、 環境にも優しい安全運転を推奨しています。立地により、公共交通機関や自転車での移動を心掛けている支店もあります。
― エレベーターではなく、階段の上り下りを推奨する健康月間を設けています。
(2)環境負荷の軽減、資源の再利用の取組み
① 再生紙利用による紙使用量の削減
― 役職員の名刺など、用途に応じて再生紙を使用しています。
② 両面コピー等による紙使用量の削減等
― その他にもお見舞いタオル(災害地支援品)の発送には、簡易包装を採用しています。災害地支援については こちら をご覧ください。
③ 帳票類の電子化
― 社内の会議資料や各種お手続きのペーパーレス化を進めています。
④ 物品等の長期使用
― 防災備蓄品のうち使用期限の迫った水や食料、生理用品等は、社員に配布しています。今後は耐用期限を迎えた毛布について、洗浄や袋の詰替えによる更新を検討してまいります。
⑤ 使い捨て製品の購入抑制
― マイボトルやマイタンブラー、マイカップ、エコバッグ等の利用を推奨しています。本社のリフレッシュルームにはリターナブル容器対応自販機を設置しています。
⑥ リサイクル商品の積極的な利用
― 循環型経済社会の構築に向けて、リユースを活用したオフィスづくりを検討してまいります。
⑦ ごみの分別及びリサイクルの推進
― 新聞紙や雑誌、段ボール、ペットボトル等は分別し、リサイクル業者等に回収を依頼しています。また、不要となった衣服や古本などは「古着deワクチン」や「こどものみらい古本募金」といったサービスを利用し、社会貢献に役立てています。「こどものみらい古本募金」については こちら をご覧ください。
⑧ 脱プラスチック化の推進
― 当社オリジナルの壁掛けカレンダー(非売品)には、金属やプラスチックではなく、可燃ごみとなるパルプ製の留め具を採用しています。
⑨ その他
― ビジネスレポートや定時株主総会招集ご通知、インベスターズガイドなどには環境に配慮したFSC®認証紙と植物油インキを使用しています。
![総会資料](https://img.ichiyoshi.co.jp/ichiyoshi/images/sustainability/fsc.jpg?v=20250117155152)
![](https://img.ichiyoshi.co.jp/ichiyoshi/images/sustainability/tcfd_cons.jpg?v=20250117155152)
TCFDコンソーシアムへの入会(2023/7)
「 TCFDコンソーシアム 」は、TCFD提言に賛同する事業会社及び金融機関等による対話を通じて、TCFD提言に基づく効率的で効果的な開示を促進し、その情報が適切に評価され資金供給が促されるような「環境と成長の好循環」に貢献していくことを目的としています。事務局からは適宜、国内外のTCFDに関する最新情報の発信等がなされています。