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第234話 2020年はデジタル化大躍進 半導体市場の成長は続くか?

2020.12.23

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、下町の茶屋で投資談義を行っています。


神様:2020年も残り僅かとなりましたね。Tさんにとってはどんな1年でしたか?

T:コロナ禍で外出自粛が続き我慢の1年、そして今も続く見えないウイルスとの戦いに翻弄された1年でしたね。新型コロナウイルスがなければ、東京五輪が開催され、東日本大震災からの復興を世界的にアピールするなど、メモリアル的な1年になったのでしょうね。

神様:現実は、我々の予測や想像では推し量れないことが起こります。おっしゃる通り、今年は未曾有の新型コロナウイルス感染流行の1年でありましたが、別の視点から見れば、デジタル化が大きく飛躍した1年であったとも言えますね。

T:自宅でのEコマースの利用、在宅勤務やオンライン化する会議、飲み会など、人々の働き方やライフスタイルが大きくデジタル化へとシフトした1年となりました。

神様:それから、コロナ禍で行政のICT政策の遅れが様々に露見しました。来年は9月にもデジタル庁が発足するとされています。これは行政だけでなく、民間企業にも大きな影響がありそうですね。

T:政府のデジタル施策がどのように変化するのか、しっかりと追いたいところですね。

神様:さらに、5Gがスタートし、来年は5Gサービスが本格化していきます。新しいサービスの登場に注目したいですね。

T:5Gが使えるエリアはまだ非常に限られていますが、エリア拡大が本格化するのも来年以降ですね。

神様:以前もお話しした通り( 第205話 世界で加速するICT化 企業のデジタル投資に注目 )、世界のデータトラヒック量は2021年には2018年の2倍に増加すると予測されています。5GやAIの活用により、2021年はデータトラヒック量が大きく伸びる年となるでしょう。

T:そうなると、気になるのは今後の半導体市場ですね。

神様:そうですね、半導体市場を見てみましょう。世界半導体市場統計(WSTS)が発表した2020年秋季半導体市場予測では、2020年の世界半導体市場規模は4,331億ドル(約44兆円)と、2019年の前年比12%減から5.1%増のプラスに転じました。そして、2021年は前年比8.4%増の4,694億ドル(約48兆円)と、過去最大になると予測しています。今後はさらに、コロナ禍で落ち込んでいた車載向け半導体の回復や、5Gの普及に伴ったスマートフォン向け高性能ロジック半導体の需要拡大が期待されますね。

T:まさに、現在の状況が半導体の需要を喚起しているわけですね。車載向け半導体と言えば、政府は2030年にガソリン車の新車販売をなくす方向で調整しているとの報道もありました。 今後の動向に影響を与えそうですね。

神様:また、国内の鉱工業生産を見ても、電子デバイスの需給改善が進んでおり、半導体の需要増を促すとみられています。コロナ禍により、今までの常識が大きく変わり、それによって半導体需要が喚起されている形ですが、長期的に見ても5GやAIの発展に伴い、データトラヒックの拡大は加速します。半導体市場は2022年以降も拡大が続くことが期待されています。

T:半導体は長期的に成長が期待できそうですね。改めて、今年は大きな変化の年であったことを感じます。

(この項終わり。次回12/30「2050年カーボンニュートラルの鍵「洋上風力発電」の未来」掲載予定)

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