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第233話 世界が「ワクチン」に期待 いま“追い風“の業界は?

2020.12.16

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、穏やかな冬晴れの中、公園を散歩しながら投資談義を行っています。


T:すっかり寒くなりましたが、ここのところ新型コロナウイルスの感染者数は増加の一方です。飲食店には再び時短要請が出されています。しかし、依然として株高ですね。これはどう見れば良いのでしょうか?

神様:アメリカ次期政権への期待やワクチン実用化への期待、主要国の金融緩和の継続、さらに日本では、第3次補正予算による景気下支えへの期待から、日経平均は高値圏で堅調な推移が続いています。今後も株価を支える展開が期待されているようですね。

T:緊急事態宣言が出された4月から6月の頃とは大きく違いますね。

神様:世界経済はしっかりと回復に向かって進んでいます。特にワクチン実用化へ向けた日々のニュースは力強い応援となっているでしょう。私たちも、これからは”ワクチン後”を見据えた世界をイメージしていきましょう。

T:今後実用化されるワクチンが、経済活動回復への力強い一手になってくれることを願います。

神様:経済活動が回復に向かっている例として、原油と銅の市況について見てみましょう。週の終値で見ると、原油ではWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の先物期近価格が4月には1月から73%も下落しました。しかし11月には1月の約70%まで回復しています。銅も同じように、LME(ロンドン金属取引所)の3か月先物価格が3月には1月から24%も下落しましたが、11月には下落前の水準を超えるところまで回復しました。

T:その理由としては、各国の経済活動の再開ですか?

神様:その通りです。新型コロナウイルスの感染状況を見ながらではありますが、各国で経済活動を再開している影響が市況回復の背景にあると考えて良いでしょう。

T:これらの数値を見れば、なるべく経済活動の休止は行いたくないですよね。

神様:経済活動と感染防止対策の両立で、この年末を何とか耐えたいところです。さて、国内でも、経済活動再開の影響が出ていますよ。日本鉄鋼連盟によれば、10月の国内粗鋼生産量は、前年同月比で11.7%減の720万トンでした。前年に比較すると減少が続いていますが、6月をピークに減少幅は縮小しています。これは、自動車や家電向けに需要が回復してきていることの影響でしょう。

T:車と言えば、報道では3密を避けるための手段として車の利用が見直されている、という話を聞きました。家電は自宅にいることが多くなると使う頻度も高まりますよね。こういった需要も新型コロナによる変化のひとつかもしれませんね。

神様:いいところに目を向けましたね。ところで、こうした原油や銅、そして粗鋼生産量などの回復は、ワクチンが実用化されればさらに加速すると考えられています。Tさんなら、この機会でどのような業界に注目しますか?

T:それは、資源やエネルギーの権益について強みを持つのは商社ですから、総合商社の活躍が注目されるかもしれませんね。

神様:その通りですね。私もそこに注目しています。これからは、コロナ後、ワクチン後の世界をしっかり見据えていきましょう。

(この項終わり。次回12/23「2020年はデジタル化大躍進 半導体市場の成長は続くか?」掲載予定)

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