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第459話 美容家電市場に”追い風” EC拡大と美容男子が市場支える

2025.08.06

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、下町の甘味処で抹茶を飲みながら投資談義を行っています。


T:今、国内で抹茶が品薄になっているそうですね。インターネット通販で抹茶を購入しようとしても、どのショップも品切れで購入できない状態だそうです。

神様:抹茶は今、世界的なブームを迎えています。北米や欧州を中心に健康志向や日本食への人気の高まりを受け、高い値段で大量の抹茶が購入されているようです。

T:特に高級な宇治抹茶が買われているらしいですね。人気が出るのはうれしいことですが、いずれお店で気軽に飲めなくなるのではと心配です。急に生産量を増やすことは、お茶農家の人手不足もあり難しいでしょう。当分は品薄状態が続きそうです。

神様:さて、EC(電子商取引)の話題が出ましたので、ちょっとECについてお話ししましょう。昨年の9月、経済産業省は「令和5年度電子商取引に関する市場調査の結果」を公表しました。令和5年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は、前年比で9.23%増となる24.8兆円でした。全ての商取引金額(商取引市場規模)に対する、電子商取引市場規模の割合を示す「EC化率」はBtoC-ECで9.38%まで上昇し、ECは現在も右肩上がりで拡大を続けています。

T:コロナ禍も経て、誰もがインターネット上でモノを購入する時代になって久しいですが、まだまだ市場は伸びているのですね。

神様:おっしゃる通りです。ショップでモノを購入する物販系分野のEC以外にも、旅行サービスや金融サービスなどを提供するサービス系分野、電子出版や有料音楽配信・動画配信、オンラインゲームなどを提供するデジタル系分野がありますが、どの分野も伸びています。物販系分野、サービス系分野、デジタル系分野の中で最も大きな割合を占めているのは物販系分野です。物販系分野のBtoC-EC市場規模では、「食品、飲料、酒類」、「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」、「衣類・服装雑貨等」、「生活雑貨、家具、インテリア」の4つのカテゴリーの割合が大きく、これらのカテゴリーで物販系分野全体の73%を占めています。

T:私もネット上でよく買います。

神様:EC化率で見てみましょう。BtoC-ECにおけるEC化率は、物販系分野のみが算出の対象となります。先ほど抹茶のお話がありましたが、「食品、飲料、酒類」カテゴリーのEC化率は4.29%、まだまだ伸びる余地があると言えるでしょう。また、「化粧品・医薬品」カテゴリーのEC化率も8.57%と低く、今後の伸びが見込まれます。このカテゴリーには、化粧品・医薬品の他に美容・健康関連器具も含まれているのですが、今後のEC市場において特に注目されるカテゴリーです。

T:美容・健康関連の商品に注目、ということですか?

神様:その通りです。国内の美容家電市場は順調な拡大が見込まれています。グローバルインフォメーションによれば、国内美容家電市場は2025年の26.5億米ドルから年平均12.27%の成長を続け、2030年には47.3億米ドルへ伸長すると予測されているところです。

T:具体的にはどんな美容家電があるのでしょうか?

神様:美顔器や脱毛器、マッサージ器などが人気です。近年は高機能、高価格帯のドライヤーが市場投入され、いずれも身体機能や身体の構造に影響を与える医療機器とは一線を画し、薬機法の規制を受けません。

T:妻がよく購入しています。今後は美容家電がさらにECで盛り上がりを見せる、ということですか?

神様:もともと「化粧品全般、医薬品、美容・健康関連器具」というカテゴリーは、従来は実物をみて購入する店頭販売が主流でした。しかし、コロナ禍で苦戦を強いられ、各メーカーがEC販路を強化してきました。それが現在ECにおける拡販の追い風となっています。注目する理由のもう一つは、美容家電のターゲットの拡大です。昨今は外見を重視する”美容男子”が増えてきました。メンズエステのように、男性がエステや脱毛に通う時代が訪れています。今後は女性だけでなく男性の需要も、美容家電市場の拡大を支えていくことになるでしょう。

T:なるほど。EC販路の強化に美容男子。今後の美容家電市場の動向に注目ですね。

(この項終わり。次回8/13掲載予定)

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