第477話 高市首相も注目 省電力・高速通信を実現する「光電融合技術」とは?
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内の喫茶店でコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。
神様:政府は11月28日、2025年度補正予算案を閣議決定しました。一般会計の総額は18兆3,034億円。12月17日まで開かれる臨時国会での成立を目指します。
T:補正予算の多くが11月21日に閣議決定された「強い経済」を実現する総合経済対策の財源となるわけですが、やはり注目すべきは物価高対策でしょうか?
神様:第一の柱である物価高対策ももちろん重要な注目ポイントですが、第二の柱である危機管理投資・成長投資は高市政権の成長戦略の肝です。AI・半導体などの経済安全保障の強化、食料安全保障の確立、GX(グリーン・トランスフォーメーション)などのエネルギー・資源安全保障の強化など、日本の力強い経済を作っていく原動力ですから、ここにも注目しましょう。
T:第二の柱の中では、特にどんなことに注目しますか?
神様:AI・半導体については以前お話しましたから、違う話題にしましょう。今、日本で次世代の情報通信基盤として注目されている技術があります。「光電融合技術」です。
T:光と電気が融合…?一体どんな技術なのでしょうか?
神様:光電融合技術とは、簡単に説明すると電気を光に置き換える技術です。実は10月24日の高市総理の所信表明演説にも、「光電融合技術」という言葉が出てきました。
T:確かに、「6 エネルギー安全保障」に出てきますね。「…GX予算を用いながら、地域の理解や環境への配慮を前提に、脱炭素電源を最大限活用するとともに、光電融合技術等による徹底した省エネや燃料転換を進めます。」とあります。省エネに有効な技術なのでしょうか。
神様:その通りです。光は電気に比べてエネルギー消費が小さいという特徴があり、消費電力を抑制する要として注目されています。例えば、パソコンなどのコンピューターは電気で動きます。マザーボードなどの回路上や半導体を電気が通ることで、コンピューターは計算ができ、電気で情報のやり取りをします。その電気を光に置き換え、光で情報の送受信をするのが光電融合技術です。エネルギー消費が少ないだけでなく、遅延も起きにくいのも特徴です。
T:光技術ではなく、光電融合技術なのですね。
神様:今、光電融合技術の開発現場では、電気でやり取りしていた部分が少しずつ光でやり取りするように置き換わっています。やがて大部分が光でやり取りするようになり、ゆくゆくは高速大容量通信を実現するオール光ネットワークに置き換わることも期待されています。日本企業は光電融合技術などの光関連技術開発に力を入れていますので、調べてみると良いでしょう。
T:まさに次世代通信技術ですね。
神様:特に最近では、生成AIの学習で使用されるGPUサーバーとの連携でも注目されています。低遅延・大容量の通信の実現は、AIのリアルタイムでの計算に役に立つでしょう。
T:AIと光電融合技術のコラボレーションの実現ですね。今後の動向が楽しみです。
神様:デジタル化の浸透などにより、日本国内の通信量は増加傾向が続いています。今後も生成AIのさらなる普及や高性能化により、通信量はさらに増加し、電力消費も増加が見込まれます。特に生成AIの開発には、GPUを用いて大量の電力を消費するデータセンターが不可欠です。半導体工場やデータセンターによる電力需要は、2034年度には2024年度比で715万kW増加するとの予測もあります。総務省によれば日本のデータセンター市場は2023年の2兆7,361億円から、2028年には5兆812億円へと成長する見込みです。2050年カーボンニュートラル実現に向け、光電融合技術は低消費電力・低遅延・大容量を実現する要として重要な技術となるでしょう。


T:光電融合技術、ぜひ日本の企業で世界をリードしていきたいですね。
神様:日本企業は光関連技術・電気関連技術の双方で高い技術を持っていますし、通信・ネットワーク分野でも強みを持っています。光電融合技術も世界的に高い水準にあります。日本の強みを活かして、世界と戦える技術を生み出すことに期待しましょう。
(この項終わり。次回12/17掲載予定)
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