兜のささやき兜のささやき

第77話 猫の手も借りたい!

2017.11.15

株の神様の声が聞こえるというTさん。投資のコツや、AIや自動運転等成長分野に本当に投資すべきか等、時折神様に相談します。今日は、秋の夜長に月見をしながら、景気の見通しと投資分野について語っています。


T:景気の見通しを判断するために、いろいろな指標がありますが、有効求人倍率も重要な指標となりますよね?

神様:そうですね。企業がどれだけビジネスを拡大するつもりか、どれだけ人材を必要としているかの指標となりますからね。

T:働く側からみても、仕事を探す人1人に対し、何人分の求人があるかを示す指標であり、1倍を上回っていれば、それは売り手(求職者)にとって有利な状況にあると言えますから、働く側にとっても、転職やキャリアプランを考える上で重要な指標になります。

神様:厚生労働省が10月31日に発表した2017年9月の有効求人倍率は、前月と同じ水準の1.52倍でしたが、バブル期の最高水準だった1.46倍を、6カ月連続で上回っていますね。あなたは、有効求人倍率と新規求人倍率の違いはわかりますか?

T:はい、新規求人倍率は、全国のハローワークで、当月に受付けられた新規求人数と、同じく当月に求職者登録を行った新規求職者数から割り出されます。有効求人倍率は、新規求人数に前月から繰り越された求人数を加えた有効求人数と、新規求職者数に前月から繰り越された求職者数を加えた有効求職者数から割り出されます。

神様:そうですね。その新規求人倍率は、2017年9月が2.26倍で前月に比べ0.05ポイント上回りましたから、いよいよ人手不足の状況が強まってきていますね。

T:実際、中小企業に対しての調査ですが、この夏に日本商工会議所が発表した「人手不足等への対応に関する調査」では、全体の6割以上の企業で「人手が不足している」と回答していますね。まさに「猫の手も借りたい」という状況になるのでしょうか。

神様:注目すべきは、正社員の有効求人倍率。6月に初めて1.00倍を上回りましたが、9月も1.02倍と引き続き1倍を超えていることです。「鼠を捕ること以外は何の役にも立たないような猫であっても、その手を借りたいと思うほど忙しい」ということわざのように、単純にパートやアルバイトの手を借りたいというだけではなく、企業が本質的に事業を展開できる人材を求めている傾向にあると言えるかもしれません。

T:(神様が数字に詳しいことに感心しつつ)なるほどですね。

神様:ところで、どんな業種で、新規求人倍率が伸びているかはご存じですか?

T:はい、最も増えているのは、宿泊・飲食業で、次いで、運輸業、介護・看護、建設業などで増えています。逆に言えば、人手不足がより深刻化している分野と言えますね。

神様:あなたは、そのような分野ほどニーズがあると判断して、投資したいと思いますか?

T:(神様が急に質問モードになったので、ちょっとドギマギして)はい、と言いたいところではありますが、実際、先の日本商工会議所の調査では、7割の企業が、「受注を逃す懸念や営業時間の短縮などの影響が懸念される」、4社に1社が「既に受注を逃す、営業時間を短縮するといった影響が出ている」となっていますから、人手不足が原因で業績が伸び悩む企業もでてくるでしょうし、個々に見極めなきゃと思っています。

神様:(ちょっと皮肉っぽく)模範解答ですね。ただ、深掘りが足りないかもしれませんね。もっと先の影響を見極めるべきではないですか?

T:えっ、そうですね…

(この項、次回11/22「人手不足の先を読む」に続く)

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