第507話 AI時代のデータセンター・電力問題の解決策「燃料電池」に期待
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内ホテルのラウンジで投資談義を行っています。
神様:これまで私たちが見てきた通り、生成AIの普及により世界的にデータセンターへの投資が拡大しています。Tさんは、今世界にどのくらいデータセンターがあると思いますか?
T:まったく予想がつかないです。日本にはどのくらいの数のデータセンターがあるのでしょうか?
神様:いい質問ですね。総務省の令和7年版情報通信白書によると、日本国内には222棟のデータセンターがあるようです。
T:日本で222ですと、世界では、5000くらいですか?
神様:2024年時点で、世界には約11,000カ所のデータセンターがあると言われています。
T:そんなにあるのですか。思ったよりずっと多いですね。
神様:2025年3月時点で、国別ではデータセンター数1位は米国で約5,426棟です。2位のドイツが529棟ですから、10倍以上の差をつけています。

T:いわゆる「ハイパースケーラー」と呼ばれる、大規模なデータセンターを運用するAmazon、AlphabetやMicrosoftなどのテック企業の力が大きそうですね。
神様:その通りです。ハイパースケーラーの設備投資計画を踏まえると、今後もデータセンターの棟数は増加すると予想されます。総務省によれば、世界のデータセンター市場は2023年の3,728億ドルから2029年には6,241億ドルへと拡大する見込みです。さて、データセンターが増えると困ることは何でしょうか?

T:困ること、と言えば電力の問題ですね。データセンターは電力を多く消費しますから、データセンターが増えると電力消費もさらに大きくなります。日本の電力需要の推移を見ても、人口減少の影響で減少傾向であったところ、データセンターや半導体工場の新増設などで2023年ごろを境に増加傾向に転じたのでしたね。
神様:その通り、正解です。データセンター増加による電力需要の増加は深刻な問題です。特に、AIサーバーを多数設置するデータセンターでは膨大な電力消費が見込まれます。加えて脱炭素化に対応するための環境への配慮も求められます。
T:そこで、二酸化炭素(CO2)を出さず安定的に電力を供給する手段として、原子力発電が見直されているのでしたね。
神様:原子力発電は、主力電源として非常に重要ですが、一方で新設しようとすれば調査から稼働まで20年かかるとされています。世界的に主力電源として期待されているのは太陽光や風力などの再生可能エネルギーでしょう。さらに、ここ最近は高いエネルギー効率の燃料電池に期待が集まっています。
T:ところで、燃料電池と再生可能エネルギーは違うのですか?
神様:燃料電池の仕組みは、まずガスなどから水素を取り出します。そして、取り出した水素と酸素を化学反応させて電力と熱を生み出します。再生可能エネルギーは、太陽光など自然から直接得られる一次エネルギーから発電します。燃料電池は水素や酸素など、一次エネルギーを加工して得られる二次エネルギーから電力を生み出します。そのため、燃料電池は再生可能エネルギーではありません。
T:そうなのですね。二つを混同して覚えておりました。
神様:燃料電池の特徴は、電力会社の電力網によらずオンサイト(敷地内)で発電することができる点にあります。さらに「コージェネレーション(コージェネ)」と呼ばれる、発電の際に発生する熱を有効活用することにより、もともと発電効率が約30~60%であったところを総合エネルギー効率約80%まで向上させることができます。
T:熱の回収がなぜ発電効率の向上につながるのでしょうか?
神様:熱でお湯を沸かし、水蒸気がタービンを回すことで、やはり電力を生み出しますよね?
T:なるほど確かに。今後、データセンターの電力供給減として、燃料電池の活躍に注目ですね。
(この項終わり。次回8/12掲載予定)
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