兜のささやき兜のささやき

第141話 インフルエンザと株

2019.02.06

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、カフェで挽きたてのコーヒーを楽しみながら投資講義を受けています。


T:今年もインフルエンザが流行していますね。

神様:厚生労働省の発表によると、年初の1月7〜13日の全国の定点当たりインフルエンザ患者報告数は、前週比2.4倍の38.54人(定点医療機関約5,000カ所)と、大流行警報レベルの30人を今季初めて超えました。警報レベルに達したのは、最大の流行となった昨季より1週間早いそうです。

T:(相変わらずの神様の記憶力に舌を巻きながら)自分や家族が発症しないかとヒヤヒヤしています。

神様:学校や会社・仕事のことを考えると心配ですね。ただ、少々不謹慎かもしれませんが、投資の勉強と考えるとインフルエンザもひとつの材料となります。

T:インフルエンザ治療薬の会社の業績の伸びが期待、といったことでしょうか?錠剤を1回飲むだけで治療が完結するという新しい治療薬が便利さから注目されていますが、それを開発した会社は当然株価の伸びも期待されますよね。

神様:そういう単純なこともあります。

T:(単純と言われてちょっとカチンときながら)ドラッグストアのチェーンのような企業も業績の伸びが期待できますよね。マスクやうがい薬、ハンドソープなどの販売増が見込まれます。もちろん、マスク等の製造メーカーも伸びが期待できます。

神様:(少々意地悪っぽく)それも普通に思いつきますよね。

T:(少し語気荒く)ちなみに神様はどういう分野や会社に注目なのですか?

神様:(今度は、悪戯っぽく)まあまあ、そう熱くならずに、もう少し考えてみたらいかがですか。こういうものがあると良いなという視点も含めて。

T:(ちょっと落ち着いて)そうですね…予防注射のインフルエンザワクチンは毎年需要がありますが、流行の型が外れることもあるのでより確実に効くものがあるといいですよね。それと、毎年患者が増えるということは、インフルエンザ感染を判定する検査薬は需要増が見込まれますね。私も受けたことがありますが、少々時間がかかったり、痛かったりしますから、改良版も期待です。

神様:ワクチンやインフルエンザ検査薬の分野は私も注目しています。ワクチンは新型のウイルスの発生も含めて注視する必要がありますね。また、早くて簡単で正確な検査薬等の開発は、大手製薬会社に限らず、遺伝子関連の独自技術を持つ臨床検査薬メーカー等いろいろな会社がトライしています。これらの分野は、流行時期に関わらず、来期以降も見据えて通年ウォッチすると良いでしょう。

T:それは、私も意識してみます!

神様:また治療薬についても、吸引型や経口型で従来業績を伸ばしてきた会社が、新たな新薬により奪われたシェアを巻き返すために、より良い薬の開発に努めるはずですから、そういう会社の開発案件についても要注目です。また、インフルエンザは、日本だけでなく、世界的に問題ですから、海外展開を上手に取り組んでいるかという点もウォッチするべきポイントです。

T:確かに、そうですね。

神様:少々話が飛びますが、関連分野で、空調機メーカーにも注目しています。

T:あっ、そういう分野もありますね。

神様:例えば、空調機大手メーカーが、インフルエンザウイルスの分解・ 除去に効果のあるストリーマ技術を搭載した空気清浄機等を手がけています。一般家庭用だけでなく、公共施設や交通機関に幅広く採用されれば、毎年威力を増しているインフルエンザの流行を、いずれ低減方向に持っていけるかもしれません。

T:そうなれば、画期的ですね。

神様:ミクロで見れば、治療薬や検査薬でもまだまだ課題がありますし、大きく見ればインフルエンザの流行自体が社会的課題です。課題があるところにイノベーションが生まれ、イノベーションが生まれるところに成長が期待できます。そういう目で見るとインフルエンザも投資の勉強の材料になります。

Tさんは、インフルエンザの流行時期に話題になる会社だけでなく、通年の視点で、周辺分野も含めて注目するようにしようと思いました。

(この項終わり。次回2/13「安全安心への投資」を掲載予定)

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