第143話 お一人様と株

2019.02.20

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、蕎麦屋で温かい鴨南蛮そばをいただきながらいつものように投資講義…のはずなのですが、Tさんは家族のことで悩みがあるようです。


T:娘は来年大学受験なのですが、合格したら一人暮らしをしたいと言い出して、少々悩んでいます。

神様:いつかは自立するのですから、良いことでしょう。

T:そうなんですが、親としては、寂しいやら、心配やら、お金もかかるし、何かと考えることが多いです。

神様:そう言う割に、あなたは大学時代に家を出て、今でもお母様は実家で一人暮らしをされているのではないですか?

T:(頭を掻きながら)はあ、そう言われるとそうです。

神様:晩婚化や少子高齢化に伴い、一人暮らしをしている世帯が増えていますね。1986年では全体に占める単独世帯の比率は18%であったのに対して、2016年には26%と、4世帯に1世帯は単独世帯という状況になっています。

T:(いつもながら神様のデータの記憶力に尊敬の念を抱きつつ)そこまで増えているのですね。

神様:一人で時間を過ごす人が増えていることで、お一人様をターゲットにしたビジネスも広がりを見せています。

T:確かに、一人カラオケ専門店なんかは、初めはびっくりして、誰が行くのかと思いましたけど、ニーズがあったようですものね。

神様:日本で初めて一人カラオケを成功させた会社は、高音質ヘッドフォンやプロ使用マイクを用意し、他人を気にせず、しかも歌手のような環境で歌えることを売りにしましたが、さらに、女性でも気軽に利用できるよう、女性専用スペースを設ける等の工夫を続けています。

T:これまで複数人で行くことが多かった飲食店やレジャー施設でも、お一人様のニーズに沿ったサービス展開を始めていますね。「一人焼肉」が話題を呼んでいたり、東京ディズニーランド・ディズニーシーもお一人様が優先的にアトラクションを利用できる「シングルライダー」制度を導入していたりするのも興味深いです。

神様:現在、合わせて3つのアトラクションで利用できるそうですね。

T:(神様がエンタメ系のトピックにも詳しいんだと少々驚きながら)国内大手の旅行会社も海外コールセンターなどの充実したサポートを用意して一人旅需要を開拓していると聞きました。

神様:一人でのサービス利用に関するアンケートを見ると、一人で飲食店やレジャー施設に足を運ぶことに「抵抗感がある」「場所などによっては抵抗がある」と答えた人はまだ6割程度と過半数ですが年々減少しており、一方「抵抗がない」「どちらともいえない」と答える人は年々増えています。

T:(神様はデータも多角的に押さえているんだと感心しながら)場所によっては、一人だと何となく周りの目も気になるものですが、企業のお一人様ビジネスが少しずつ浸透し、利用する顧客が増えていることで抵抗感を弱めているんですね。

神様:「一人で楽しむ」という分野のサービスに加え、家事代行のように「一人では面倒」というニーズに対するサービスの分野にも伸びが期待できます。例えば、お寿司の宅配事業者の中には、自社の商品のほか、他社(レストラン等)が手掛ける弁当の宅配も取り込み、一人暮らし世帯にとって面倒な調理と多彩なメニューの両方のニーズに応えるサービス展開を見せています。

T:それは、一人暮らしのうちの母も、もし一人暮らしをしたら娘も喜びそうなサービスですね。

神様:一人暮らしをしている人には、「誰にも気兼ねなく好きなことをしたい」というニーズがあると考えられます。そのニーズに応えられるサービスを提供する企業は、拡大していくお一人様需要をしっかり捉えて成長していくことが期待できますね。

T:うちの娘も「誰にも気兼ねなく好きなことをしたい」というニーズがあるんですかね…

神様:あるでしょう。それに応えられないと、子も、そして親自身も成長が期待できませんよ(笑)。

(この項終わり。次回2/27「ペットは買い?」を掲載予定)

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