第147話 認知症対策と投資

2019.03.20

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、早春の海を眺めるカフェで投資談義です。


T:長寿は世界共通、人類の長年の夢ですが、長生きする人の増加に伴い、認知症を患う人も増えますよね。

神様:厚生労働省の推計(2015年5月公表)によると、国内の65歳以上の認知症患者は12年の462万人から25年には730万人へ増加。12年には65歳以上の約7人に1人(推定有病率15%)であったのが、25年には5人に1人(同20%)が認知症を患うとみています。

T:5人に1人とは、かなり深刻ですよね。

神様:認知症とは、これまで身に付けてきた知識や技術などが後天的に低下し、社会生活や家庭生活、仕事などに支障がある状態を言いますが、特に多いのは、ご存知の通り、アルツハイマー型認知症(AD)で、全体の約6割を占めます。

T:6割ということは、逆に4割は違う原因なのですね?認知症=アルツハイマー型認知症のような感覚でした。

神様:アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞の変性や脱落により発症します。他にも、脳の広い範囲にレビー小体という特殊なたんぱく質が生じることにより発症するレビー小体型認知症、脳血管障害により発症する血管性認知症などがあります。

T:私も最近物忘れがちょこちょこあり、妻や子供達から指摘されます。神様の記憶力が羨ましい限りです…

神様:認知症はまず物忘れから始まり、症状が進むにつれて体験したこと自体を忘れます。一方、加齢による物忘れは体験の一部を忘れるだけで、ヒントがあれば思い出せるし、時間や場所も正しく認識できます。あなたは、後者ではないですか?あまり心配しすぎなくても良いと思いますよ。

T:ありがとうございます。

神様:投資の話で言えば、安倍首相は本年1月から始まった通常国会の施政方針演説で認知症対策に言及しており、医薬品など関連企業への恩恵が期待されます。

T:国内製薬最大手のメーカーが、米大手製薬会社が開発した軽~中等度のAD用治療薬を国内で販売し注目されていますね。錠剤、口腔内崩壊剤、内用液等のバリエーションがあるそうです。

神様:別の大手メーカーがスイスの大手製薬会社と共同開発した、AD治療薬も軽~中等度のAD用の薬ですが、貼り薬という点が面白いです。薬の成分が皮膚から徐々に吸収されるため、副作用が出た場合はパッチを剥がせば成分の吸収を止められる利点があります。

T:この分野で、日本の大手製薬会社はグローバルな提携を積極的に進めていますよね。ドイツの製薬会社が創製し、国内大手メーカーが開発した中~高度のAD用の飲み薬を国内で販売したと聞きました。他のAD治療薬とは作用メカニズムが異なるので併用ができるそうです。

神様:ご自身の危機感からなのか、よく調べていますね。

T:この分野は、仰るとおり自分のことも考え、いろいろと調べています。別の大手医薬品メーカーが昨年末に、米国において認知機能改善薬の開発候補品を持つ製薬会社から日本・韓国・台湾での独占的開発・製造・販売権を取得し、戦略的投資の一環として出資も行いました。今後の動きが期待されます。

神様:期待という点では、レビー小体型認知症治療薬への適応拡大を国内で取得している大手メーカーのAD治療薬の開発候補品は、従来では難しかった症状の進行を抑制できる可能性があり、今後の臨床試験の結果が注目されています。各メーカーがしのぎを削っていますので、いずれ認知症自体が減少し、克服されていくことも期待されますね。

(この項終わり。次回3/27「シニア人材と株」を掲載予定)

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