第263話 経済正常化へ原油・銅市況が高値 今後も高水準が続く理由

2021.07.28

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、風が心地よい木陰の公園のベンチで投資談義を行っています。


T:いよいよ、東京オリンピックが始まりましたね。8月8日までの17日間、どのような展開になるのか楽しみです。

神様:開催に賛否がある中、パンデミック禍での五輪開催が今後どのような意味を持つことになるのか。人は歴史的な出来事の真っただ中にいるとき、それがどういう意味を持つのかを知ることはできません。後になって振り返ってわかることがたくさんあるのだと思います。五輪関係者、政府関係者は極めて難しい状況を乗り越えようとしていますが、それが実ることを祈りましょう。

T:私たちが本来期待していた五輪ではないかもしれませんが、成功裏に終わらせることが、コロナ禍を乗り越える力につながるかもしれませんね。

神様:その通りです。そしてそのような中でも、客観的な経済指標は未来の動向を知る鍵となります。ということで、今日は原油と銅の市況を見てみましょう。

T:前回、原油と銅の市況を見たのは2020年12月( 第233話 世界が「ワクチン」に期待 いま“追い風“の業界は? )でした。この頃は世界でワクチン実用化へ向けた期待が高まっていました。各国で経済活動が再開され、年末に向けて原油も銅も市況が回復していることを確認しました。

神様:今回は、その後、2021年の市況を確認しましょう。

T:よろしくお願いします。

神様:原油の価格推移、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の先物期近価格を見ると、コロナ禍の初期である2020年4月の16.94ドル/バレルから、2021年7月には75.16ドル/バレルまで上昇し、実に4.4倍の価格となりました。続いて銅ですが、LME(ロンドン金属取引所)3か月先物価格を見ると、2020年3月の4,791ドル/トンから2021年5月には1万417ドル/トンまで上昇。これは、2011年2月の史上最高値を更新する価格です。直近では、9,000ドル/トン台で推移しています。

T:どちらも非常に高い水準ですね。やはり経済正常化への期待が高まっていることが背景にある、ということでしょうか。

神様:はい。引き続き、新型コロナワクチン接種が世界的に進んでいますから、原油・銅の需要増の期待が背景にありますね

T:グラフを見ると、特に銅市況が2020年4月から一直線に伸びているのがわかりますね。

神様:銅や銅合金を加工した伸銅品の生産も回復しています。日本伸銅協会によると、国内の伸銅品生産量は2020年8月に前年同月比で31.3%減の3.66万トンまで減少しました。しかし、2021年1月には前年同月比で1.8%増の5.88万トンとなり、26か月ぶりに前年同月を上回りました。速報値ですが、2021年5月は前年同月比で27.5%増の6.14万トンとなっています。

T:銅の市況がこれほど高水準なのは、経済正常化の他にも理由があるのでしょうか?

神様:いい質問ですね。実は銅については、今後、電気自動車や風力発電機など、「脱炭素」関連での需要が見込まれています。銅は電気をよく通す「導体」として使われます。世界が推し進める「グリーン」施策にとっても欠かせない材料であることから今後も高水準の推移が続く可能性があります

T:なるほど。コロナ後の未来が見えるようですね。原油・銅と言えば、総合商社を始めとした、関連企業の活躍にも注目ですね。

(この項終わり。次回8/11「テレワーク定着・米中競争激化も背景に…深刻化する半導体不足」掲載予定)

PAGE TOP