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第264話 テレワーク定着・米中競争激化も背景に…深刻化する半導体不足

2021.08.11

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、リモートで投資談義を行っています。


T:無観客ではありますが、東京五輪が開催され良かったです。日本のメダル数も過去最多となり盛り上がってますね。しかし新型コロナは変異株が猛威を振るい、いまだに厳しい状況が続いています。

神様:今は外出自粛を徹底し、ワクチン接種を確実に進めるしかありませんよ。大切な人を守るためにも、頑張りましょう。

T:私も1回目のワクチン接種を終えました。ワクチン接種がさらに進むことを期待します。

神様:さて、経済界で盛り上がっているのは半導体です。前回、IC市場についてお話しました( 第262話 アフターコロナのIC市場、史上初の規模へ 今後の動向は? )が、覚えていますか?

T:今後も需要拡大が続く見通しのため、シリコンウェハーメーカーが生産能力拡大の検討を進めているという話でしたね。

神様:コロナ禍によるテレワークの定着など、いわゆる「ニューエコノミー」が半導体需要をけん引しています。また、自動車や家電のデジタル化や、5G対応のスマートフォン向け高性能半導体の需要も拡大しています。

T:テレワークももちろんですが、街中のデジタルサイネージなど、デジタル化を目で見る機会も増えました。東京五輪開幕式でのドローンもきれいでしたね。あんな技術がこれからどんどん出てくるのでしょうね。

神様:今、世界的に半導体不足が深刻化しています。今後は半導体メーカーによる増産投資が続くと期待されるでしょう。半導体の業界団体であるSEMIは7月13日、半導体製造装置の年央市場予測を発表しました。2021年の半導体製造装置の世界販売額は前年比で34%増の953億ドル、そして2022年には1,000億ドルを超えて過去最高を更新する見通しです。

T:2020年から2021年への顕著な伸びが、グラフで見るとよくわかります。

神様:半導体デバイスメーカーの積極的な投資戦略により、前工程と後工程の両方で拡大が続く見通しです。半導体メーカーは中国勢が台頭していますが、米国では国を挙げて競争力向上に取り組んでいます。先端製品の開発と生産能力の拡大が続いていることが半導体製造装置の需要をけん引していると言えるでしょう。

T:米国と中国の半導体メーカーによる激しい競争が背景にあるということですね。

神様:さて、日本製の半導体製造装置について見てみましょう。半導体製造装置協会が7月28日に発表した6月の日本製半導体製造装置の販売額(3か月平均、速報値)は、前年同月比で38.3%増の2,495億円に拡大しました。ロジック用半導体の旺盛な投資に加え、DRAMなどのメモリ向けも拡大基調が続いています。

T:コロナ禍による新しい生活様式、世界的なデジタル推進、米中の競争激化など、半導体の需要拡大を背景に、半導体製造装置など生産にかかる事業も拡大が続きそうです。いつまで拡大が続くのか、今後どのように推移するのか。しばらく目が離せませんね。

(この項終わり。次回8/18「工場も「密を避ける」 スマートファクトリーに注目集まる」掲載予定)

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