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第454話 生成AIの次?人間に寄り添う「AIエージェント」市場に注目

2025.07.02

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、神社の境内を散歩しながら投資談義を行っています。


神様:前回は半導体市場の予測において、生成AIがさらに発展・拡大していくだけでなく、「エッジAI」などの新しい技術も広がっていくことを見ました。ところで、TさんはChatGPTなどの生成AIはよく使っていますか?

T:はい。仕事でもプライベートでもよく使っています。自分が知りたいことについて、日常の言葉を投げかけるだけで多様な視点で答えてくれる様子は、さながら私の有能なアシスタントのようですね。

神様:それはいいですね。では、今後生成AIはどのように発展していくと思われますか?

T:なかなか想像するのは難しいですが、やはりロボットと言いますか、より人間に近づいた思考や行動を行うようになるのですかね?今よりさらに有能なアシスタントになってくれるのでしょうか?

神様:なるほど。AIが今後どのように発展していくのか興味深いところですが、ひとつの方向性として最近注目されているのが「AIエージェント」です。

T:AIエージェント?一体どんなAIなのでしょうか?

神様:「エージェント」とは、英語で「代理人」と言った意味があります。つまり、AIエージェントはAIによるユーザーの代理人であり、人間に代わって何らかの役割を果たすAIであると言えます。

T:なるほど。イマイチまだよくわかりませんが、どんなことをしてくれるのでしょうか?

神様:生成AIの場合は「プロンプト」と呼ばれる指示をAIに投げかけることで、AIが適切と思われる回答を答えてくれます。生成AIはその意味で人間のアクションに対して受動的であると言えますが、AIエージェントはより能動的に活動を行います。AIエージェントは、指示するユーザーに代わって目標達成のための最適な手段を自律的に選択してタスクを遂行するAIと言えるでしょう。

T:ということは、与えられた仕事についてAIが自ら考えてアクションを起こし、最後まで成し遂げるということですか?

神様:そういうことになりますね。

T:私の代わりにイチから仕事をやってくれるのですよね?アシスタントどころか、立派な一人前の代理人というわけですね。

神様:もちろん、AIが得意とするところ、不得意なところがありますから、できることとできないことがあるでしょう。しかし、生成AIに見られるような自然言語処理の発達や機械学習の発展により、知覚、推論、学習や周囲の環境との協働など、幅広い活動が行えるようになってきました。いずれ複雑なタスクを、まるで知能を持ったロボットのようにこなすようになるかもしれません。

T:そうなれば驚きですが、そういった技術がすでに進んでいるのですか?

神様:AIエージェントの市場規模はまだまだ小さいですが、今後大きく伸びることが予測されています。グローバルインフォメーションによれば、AIエージェントの市場規模は2024年の51億ドルから2030年には471億ドルになり、年平均44.8%で成長すると予測されています。主に業務などの自動化、効率改善につながるようなコスト削減の目的、活動を合理化する目的でAIエージェントの導入が進んでいくと考えられています。

T:ITを活用した業務効率化と言えばRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)がよく知られていますが、AIが自律的にアクションを起こしてタスクをこなすという意味において、AIエージェントはより一歩進んだ業務効率化の手段と言えそうですね。

神様:おっしゃる通りです。しかし、導入はまだこれからです。あるアンケート調査によれば、AIエージェントを活用していると回答した割合は全体の30.9%でした。一方で、試験的な導入や導入の検討、情報収集を実施している割合は63.6%となり、関心の高さが伺えます。

T:AIエージェントが今後普及していくことを考えると、AIエージェントの開発や導入を進める企業にとっては大きなチャンスですね。今後、人間の仕事にAIがより身近に寄り添う時代がやってくるのですね。私たちの生活や仕事が今後どのように変わるのか楽しみです。

(この項終わり。次回7/9掲載予定)

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