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第265話 工場も「密を避ける」 スマートファクトリーに注目集まる

2021.08.18

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、リモートで投資談義を行っています。


神様:前回は世界的に深刻化する半導体不足についてお話ししました。世界で進むデジタル化の中で、今後も半導体の需要は伸び続け、半導体メーカーでは生産能力の拡大を検討しています。今回もそれに関連したお話をしたいと思いますが、以前「ローカル5G」についてお話ししたことを覚えていますか?

T:ちょうど1年程前ですね。企業や自治体が通信キャリアを介さず独自に5Gを導入、構築して活用する無線通信システムのことを「ローカル5G」( 第213話 5G普及に向けて注目「ローカル5G」とは? )と言いました。

神様:その通りです。企業や自治体などが限られたエリア内で5G通信システムを利用することで、様々な恩恵が受けられるのでした。

T:例えば工場では、5GのほかAIやIoTを積極的に活用し、効率性や生産性を高める「スマートファクトリー」が脚光を浴びていますが、このような工場では半導体が特に重要な役割を持ちますね。

神様:実は、新型コロナウイルス感染の拡大により、このスマートファクトリーがさらに注目を集めることとなりました。コロナ禍では、一時は生産活動の停滞を余儀なくされた企業・工場も多くありました。しかし、企業の事業継続計画の観点から言えば、今後は活動停止を避けなければなりません。そこで、自動化・省人化した工場が求められているのです。

T:なるほど。コロナ禍により、工場のあり方も見直されているということですね。

神様:富士経済は2020年12月、スマートファクトリー関連システム・製品の世界市場についての調査結果を発表しました。2020年(推定)と2025年(予測)の世界市場規模を比較したところ、2020年には2兆4,142億円となり、2025年には5兆4,446億円まで拡大すると予測されています。まさに今後、工場のデジタル化や自動化のニーズがさらに高まり、拡大していくことを示しています。

T:「ウィズコロナ」はしばらく続きそうですし、ここでもデジタル化が加速しているわけですね。

神様:調査では、特に「見える化・活人システム」やクラウドサービスなどを含む「サービス」が大きく伸びると予測されています。

T:見える化はわかりますが、活人システムとは何でしょうか?

神様:「人を活かす」と書いて「活人」ですが、スマートファクトリーでは効率化・省人化だけでなく、人間にはより高度な判断が求められる仕事や、ロボットにはできない作業に従事してもらうことも、重要な目的です。AIやIoTにより様々なデータによる分析が行われますが、その結果を用いるのは人間です。コンピューターやAIにはできることとできないことがあります。

T:AIが人間の知能を凌駕する”シンギュラリティ”の話に通じますね。

神様:ちなみに、工場内で様々なデータを運ぶ役割を果たすのが「ローカル5G」です。海外ではプライベートLTEの導入が進んでいますが、大容量・超高速通信や超低遅延、多数同時接続といった性能の点では、ローカル5GがLTEをはるかに上回り、ニーズが高まっています。調査では、ローカル5Gも見える化・活人システムの中に分類されています。また、コロナ禍で人の移動が制限されている中、製造現場や医療などでは、遠隔からの指示を伝えられるスマートグラスの注目度が高まっていることも伝えています。これも、見える化・活人システムの一つです。

T:スマートグラスとは、メガネのようにかけて、AR(拡張現実)などを使って目の前をディスプレイとして活用するツールですね。両手を使えて映像や音声などを共有できるのは便利ですよね。

神様:さて、産業用ロボットは生産現場の密を避けるための省人化投資として注目されていますが、現状では生産の回復は遅れています。しかし、受注額で見ると増加傾向となっており、スマートファクトリーへの需要が先行的に受注に現れていると言えるでしょう。今後に大いに注目しましょう。

T:ロボットは日本企業が活躍している分野ですし、今後の動向が楽しみですね。

(この項終わり。次回8/25「CO2排出量 日本は世界で何番目?急がれるエネルギー改革」掲載予定)

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