第292話 海外市場が国内を逆転 「日本アニメ」ブームに期待高まる

2022.03.09

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内にあるホテルのラウンジで投資談義を行っています。


T:ウクライナ情勢が大変な状況になってきました。世界的にロシアへの非難の声が高まっています。神様はどのように見られますか?

神様:株式市場で言えば、ロシア軍によるウクライナへの攻撃開始の報道を受け、投資家にもリスク回避の姿勢が強まりました。日経平均株価も2月24日、昨年来安値となる2万5,970円を付けました。一方で、新型コロナウイルスで落ち込んだ企業業績の底入れ感もあります。今後は、ウクライナ情勢を見極めながら価格変動の度合いの高い値動きとなりそうです。

T:一刻も早く、平和な世界が戻ることを願います。

神様:今日は、前々回( 第290話 ゴジラもウルトラマンも現役 拡大続けるキャラクタービジネス )の続きをお話しましょう。キャラクタービジネスについてお話しましたが、覚えていますか?

T:はい。出版権や商品化権などのキャラクター版権市場が右肩上がりで伸び続けており、今後はメタバースなどの仮想空間への展開に期待する、というお話でしたね。

神様:今日はアニメ市場に注目しましょう。一般社団法人 日本動画協会は2021年12月、「アニメ産業レポート2021」を公表しました。そこでは、コロナ禍に見舞われた2020年のアニメ産業市場についてレポートされています。興味深いので読んでみるとよいでしょう。

T:コロナ禍では、劇場が休館や入場制限を設けられるなど、大きな影響を受けました。市場はどのように推移したのでしょうか?

神様:アニメ産業市場は2019年まで10年連続で伸びていましたが、2020年は減少に転じました。日本動画協会では「広義のアニメ産業市場」の内訳として、テレビ、映画、ビデオ、配信、商品化、音楽、海外、遊興、ライブの9つの項目を設けています。2020年はその多くの項目が減少に転じましたが、一方で、伸び続けた項目が2つだけありました。それは何だと思いますか?

T:コロナ禍ですから、巣ごもり消費と関係がありますよね?「配信」と「テレビ」でしょうか?

神様:おしいですね。「配信」はその通りです。コロナ禍でエンタメがオンラインにシフトした( 第229話 コロナで苦境のエンタメ ライブはデジタル配信時代へ )ことは、以前に私たちも話しました。もう一つ伸び続けたのは「海外」です。

T:なるほど。現在はネット経由で海外でも気軽に日本のアニメ動画を見ることができますからね。

神様:「アニメ産業レポート2021」で海外契約における地域別契約比率をみると、アジア、欧州、中南米を中心に各地域へ広がっています。国別契約のトップは米国で474件、次いでカナダが450件、韓国が334件と続きます。海外拡大の背景には、おっしゃる通り動画配信もありますが、企業による積極的なグローバル展開があります。配信の普及により日本のアニメに触れることができ、さらにゲームやグッズなどのキャラクタービジネスが展開されて大きく伸びているのです。特に、アプリゲームの影響については注目すべきでしょう。海外市場は2015年以降で伸び続け、2020年は国内市場の合計を超え、ついに市場規模で逆転した年となりました。

T:海外市場が国内市場を上回るまで大きく成長していたとは知りませんでした。確かに、アプリゲームもネットでダウンロードでき、国境を問わず遊ぶことができますね。

神様:市場の大きい海外でキャラクタービジネスを展開できるとなると、より大きなビジネスとなります。今後も動画配信が世界で普及し、ますます多くの作品が知られることとなります。まさに日本アニメの拡大のチャンスと言えるでしょう。このビジネスチャンスを活かし、日本アニメブームを大きく育てていくことに期待しましょう。

T:2025年には大阪万博があります。かつて19世紀後半にヨーロッパで起こった「ジャポニスム」ブームのように、アニメブームも世界中で盛り上がることを期待したいです。

(この項終わり。次回3/16「注目されるサイバー攻撃対策の強化」掲載予定)

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