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第109話 「いいね!」と言われる投資 (その2)

2018.06.27

株の神様の声が聞こえるというTさんは、世界最大のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)であるFacebook(フェイスブック)が個人情報の流出等で批判を受けているトピックから、IT(情報技術)の新しい分野への投資の是非について話しています。神様は、この分野は、問題に対して制度やルールが整備されれば、さらに成長する可能性があり、投資に値すると考えているようです。


神様:国内でもSNSは進化を遂げており、通話、会話のやり取りから写真や動画のアップまで、使われ方は様々です。日本の代表的なSNSにはLINE(ライン)がありますが、近年、無料の写真掲載アプリとしてInstagram(インスタグラム)が急速に力をつけていますね。

T:Instagramに見栄えの良い写真を投稿する「インスタ映え」という言葉も生まれ、これは2017年の新語・流行語大賞年間大賞にも選定されています。

神様:LINEやInstagramに限らず、写真投稿サイトを飾る商品などが注目され、それが流行するケースも少なくありません。例えば著名人が、自身で気に入った商品をサイトにアップし、それを賞賛する記事を書く。TVや新聞での広告以上に、このようなPRが効果的なケースも出て来ています。

T:ただ、それが自発的に出たものではなく、消費者に気付かれないように企業から報酬を得て業務としている場合などは、ステルスマーケティングとして非難されますよね。消費者になりすまして、口コミや記事を書く場合もあります。いずれも一般消費者を欺く行為です。

神様:さすが、よくご存知ですね。でも、やはりSNS等の新興企業への投資には慎重でありたいようですね(笑)。

T:そういうわけでもないのですが(笑)。新しい分野だけにリスクも多いかと。

神様:ステルスマーケティングや「なりすまし」に対し、むしろ報酬の有無をはっきりとさせてマーケティングに活かすケースもあります。インフルエンサー・マーケティングは、ご存知ですよね?

T:はい、特定のコミュニティで口コミの発信力がある人物=インフルエンサーに接触し、商品やサービスを使ってもらった上で、彼等にその感想など質のよい口コミを発信してもらい、広く拡散することを目的とします。

神様:インフルエンサーに対し、アンバサダーという存在もあります。アンバサダー、直訳しますと「大使」ですが、企業や商品の熱烈なファンのことです。例えばあるメーカーのコーヒーのアンバサダーがいれば、ネット企業が彼らの集う場を設け、メーカーに彼等に向けた新製品の開発を促したりします。

T:アンバサダー・マーケティングといわれ、メーカーとアンバサダーが共同で新製品を開発したりもしますよね。アンバサダーは好きでやっているので基本無報酬、ネット企業はメーカーから収入を得ることになります。

神様:一般的にインターネット広告のようなIT関連企業は製造業と異なり、大掛かりな製造設備が概ね不要なため、設立後の短期間で急成長・上場するケースも少なくありません。

T:そうした企業への投資によって、短期間で多額のキャピタルゲインを得られることも往々にしてありますよね。

神様:そうです。インターネットは便利です。そして、その関連企業は投資先として魅力的なことが多いです。ただ、新しい業界ですからトラブルや失敗も多いでしょう。その一つ一つに目くじらを立てて、投資回避の判断もありえますが、もう少し長い目で、苦い経験に対して、ビジネスモデルやサービス提供体制を誠実にスピーディーに改良し、磨いていく姿勢がある企業か否かを吟味し、そういう姿勢がある企業には「いいね!」と判断して投資してもよいのではないでしょうか。

Tさんは、新しい分野でリスクがあるからと大雑把に判断するのではなく、一つ一つの企業の姿勢を吟味する必要があることを改めて心に刻みました。

(この項おわり。次回7/4「言葉と投資」を掲載予定)

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