兜のささやき兜のささやき

第121話 『高さ』の追求と投資

2018.09.19

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、古都鎌倉の古民家カフェで雑談をしながら教えを受けています。


T:この古民家、独特の味わいがあって、素敵ですね。最近は、こういった古民家カフェや雑貨店が、海外からの観光客にも人気があるようですよ。

神様:部屋を閉じられた空間としない開放感が、四季ごとに移ろう周囲の自然と柔らかく溶け込んでいくような風情を醸し出しますね。

T:歴史ある日本の家屋は贅沢でもあります。広大な敷地に、平屋建て。土地をより有効に利用しようと、建ペイ率や容積率を気にする間取りとは対照的です。

神様:伝統的な日本家屋が平屋を中心とする理由は、「日本は地震大国」という理由もあるかもしれません。気象庁の統計では、昨年に国内で発生した震度1以上の地震は2,025回で、このうち震度5以上の地震は計8回を数えます。日本及びその周辺で発生している地震は、世界で起こっている地震の約1/10にあたるそうです。

T:確かに、平屋住宅は2階の重みが加わらず、倒壊の危険を回避できるため、耐震性に優れている面がありますよね。

神様:一方、西欧を中心とした海外では、多層階の建築物の見事さが目立ちます。ヨーロッパで良く見られるゴシック建築のように、大聖堂や大寺院は圧倒的な「人工美」を誇ります。いわば、西洋の建造物の真骨頂は自然に対する「挑戦」にあるのかもしれません。あなたは、「バベルの塔」のお話を知っていますか?

T:はい、もちろんです。「バベルの塔」は旧約聖書の「創世記」中に登場する巨大な塔で、人々は、塔の先が天に届くほどの街と塔を建設しようとしましたが、神の怒りに触れて、その作業を中断せざるを得ませんでした。その町が「バベル」であり、塔が「バベルの塔」です。空想的で実現不可能な計画の例え言葉でもあります。

神様:現代では、ミクロの世界で、不可能とも思える『高さ』の技術が追求されていて、投資の対象にもなり得ますよ。

T:えっ、どういうことですか?

神様:エレクトロニクスの分野、例えばプリント基板ですよ。プリント基板は、絶縁体でできた板の上や内部に導体の配線が施されます。そして集積回路、抵抗器、コンデンサー等の多数の電子部品が表面に固定され、その部品間を配線で接続することで電子回路を構成します。いわば電子機器の心臓部であり、モバイル機器などの様々な電子機器に実装されています。

T:スマホなどのモバイル機器は、通話のみならず、動画やSNSなど、様々な生活シーンで利用されていますよね。その心臓部と言われると需要が拡大していくことはわかります。ただ、それと『高さ』とどういう関係があるのですか??

神様:まさに様々な生活のシーンで利用されるがゆえに、どのような問題が生じますか?

T:電波が繋がらないと困りますよね…あとはそう、電池の持ちが気になりますね。

神様:そう、1回の充電でなるべく長く使えるようにしたい。そうすると、必然的に一定のバッテリーの容積が、端末内で占められることになります。

T:たしかに、実際そうですね。

神様:用途の拡大とともに、プリント基板の面積も拡大したいのですが、バッテリー搭載との兼ね合いもあり、ままならない。そこで編み出された技術がプリント基板の多層化です。

T:ああ、そういうことですか!ヨコがダメならタテがあると。

神様:基板自体を薄くした上に重ね、平屋から二階立て、三階建て…、八階建てにまで積み立てていこうとする技術はより重要性を増しています。

T:そこで活躍が期待される日本企業もあるということですね。

神様:そうです。多層版のメーカーから、多層版製造に必要なめっき薬品のメーカーまで、投資先と注目すると良い企業が多数あります。

Tさんは、いつもながら、神様の見識に感服しつつ、いろいろな視点で投資対象を見つけるチャンスがあるんだなぁと、改めて身の回りを見つめてみようと思いました。

(この項おわり。次回9/26掲載予定)

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