兜のささやき兜のささやき

第127話 動画と株

2018.10.31

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、紅葉のお庭が綺麗な和食処で、投資談義をしています。


T:最近、うちの高校生の娘も中学生の息子もネット動画に夢中で、放っておけば一晩中観ていて、中毒になるのではと心配なんですよ。

神様:あなたも放っておけば、寝ないで夜中までテレビを観ていた世代ではないですか?

T:そう言われると、恥ずかしながら、その通りです(笑)。

神様:テレビに比べて、大人が作る番組のタレ流しを受動的に観るのではなく、自分で主体的に選んでいる分だけマシかもしれませんよ。あるいは、どこのチャンネルも似たような番組を流すテレビに比べて、ネットの動画は多様性に富んでいて、個性を磨く面でもテレビよりは進化しているとも言えますよね。

T:仰る通りかもしれません(汗)。

神様:もちろん、依存や悪用への注意は必要ですが。
ところで歴史から振り返ると、人類が動画を手に入れたのはいつ頃だと思いますか?

T:私はテレビで育った世代ですが、母は映画で育ったといつも言っていました。100年以上の歴史になるでしょうか。

神様:米国のエジソンが、自動映像販売機(映写機)『キネトスコープ』を一般公開したのは1893年のことでした。

T:エジソンの伝記で読みました。『キネトスコープ』は箱を覗き込むと、その中で動画を観られる仕組みでしたよね。

神様:スクリーンに投射する現在の映画のタイプへと改良したのは、フランスのリュミエール兄弟とされます。これを映画の起源とする説が有力で、誕生から1世紀以上が経過したわけです。現在、動画を観る主流は、映画館からお茶の間のテレビ、インターネットへと移行しつつあります。ところで、ネットとテレビの動画の大きな違いはなんだと思いますか?

T:ほぼ、無料という点は共通ですが、いつでも、どこでも、自由に、バリエーション豊かに、動画が観られることは大きな違いだと思います。

神様:そうですね。もう1点、個人による動画コンテンツ発信の機会が広がったことは見逃せません。

T:ああ、そうですね。うちの娘も『YouTuber』に憧れていたりします。

神様:ネットで動画が流され始めて20年以上経過しました。この間、通信料金の低価格化、ネット接続の高速化等により、動画を使ったコンテンツやサービスが急速に普及しましたが、重要なのは、生まれた時からインターネット動画が存在していた世代が、成人を迎えていることです。

T:彼らは今、インターネット動画の受け手から、『YouTuber』のようにコンテンツを提供するクリエイターへと変貌しつつありますよね。

神様:そうです。『YouTuber』が動画コンテンツを制作するモチベーションは、元々は自分達の趣味です。自分が楽しいから、クリエイトする。しかしながら、そうした動画コンテンツがソーシャルメディア等を介しながら広く一般の視聴者に受け入れられるようになると、動画コンテンツはもとより、『YouTuber』自身に付加価値が出るようになります。人気『YouTuber』の動画は、商品の紹介等、企業の広告宣伝とタイアップすることで、新たな媒体へと進化しています。

T:子供達が好きな『YouTuber』の動画を一緒に観ると結構バカバカしいものも多いんですけど、それがかえって人気があって、企業も注目しているようですよね。

神様:それらの動画は、概して短時間かつ制作コストが低い点も特徴です。スマートフォンでのヒマ潰しに最適ともいえます。商業ベースに乗らないような「バカげた」ものが人気を博して、「商業ベース」に乗る。

T:一方で、それらと対極を成すように、コストをかけたネット専門の有料映画なども製作されていますよね。

神様:ネット動画が身近なものとなり、内容によっては有料でも構わない視聴者が増えています。そしてネットに慣れ親しんだ若年世代が、可処分所得の多い世代へと移行しているという背景もあります。今後、ネット動画の収益化の新しい可能性も、次々と開拓されることでしょう。

T:ネット動画関連企業に注目ということですね!

神様:単に一企業の株価の増減という以上に、この分野は、『YouTuber』のように、少し前まで考えられなかったような職業が生まれるなど、新たな雇用や業界が生まれるポテンシャルを秘めています。そういう視野で注目ですね。

(この項終わり。次回11/7「スパイと株」を掲載予定)

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