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第157話 いよいよ5G時代到来

2019.05.29

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。前々回 (155話「成長する動画広告」) 、令和の成長分野としてネット動画及び広告について話しましたが、今日はその続きのようです。


神様:前々回、通信環境の高速化がさらに進み、ユーザーの動画視聴環境もより良くなるので、動画コンテンツの視聴が拡大し、動画広告等関連市場の成長が期待できる旨の話をしましたが、通信環境の高速化に関しては、当然様々な分野の成長や波及が期待されます。

T:通信環境の高速化、すなわち第5世代移動通信システム=5Gですね!

神様:そうです。携帯通信事業者の業界団体であるGSMAは、5Gが2034年までに世界経済へ2.2兆ドルの貢献をすると予想しています。

T:今年の4月には、米国と韓国でスマートフォン向け5Gの商用サービスが開始されましたが、日本では、通信4社が2020年春をめどに本格サービスを開始する予定ですね。

神様:5Gは、高速・大容量だけでなく、低遅延や同時多接続を特徴とします。普及するに伴い、手軽な動画鑑賞はもちろんですが、ラグなくリアルタイムで遠隔地のロボット操作ができたり、ブレーキなどの反応速度が向上され自動運転の実用化が一気に近付くと見られています。

T:5G関連で成長期待の市場はそういったところでしょうかね?

神様:当然、そのような先端的な市場は大きな期待が寄せられますが、足元でも確実に期待できそうな分野がありますよ。

T:ぜひ、伺いたいです。

神様:5Gは、ミリ波と呼ばれる高い周波数帯を活用します。ミリ波は強い直進性があり、大容量のデータ送信に適している半面、4Gに比べると電波の飛ぶ距離が非常に短いのです。ということは、何が必要になりますか?

T:(急に質問されたので慌てて)えーと、そのためには、より多くの基地局等の設置が必要となりそうですね。

神様:その通りです。国内通信4社は、2024年度末までに合計1.6兆円の5G設備投資を実施する計画で、基地局向けを中心とする模様です。

T:つまり、5G普及に伴い、基地局投資の関連企業の収益拡大が期待できる、ということですね。

神様:そうです。実際、法人・個人向けIT機器サポートを主力とする会社は、収益性の高いIT通信機器の設定・設置部門において5G関連の基地局設置案件が具体化するなど、今後の案件拡大の期待もあり大幅伸長しています。

T:様々な精密・高性能の機器の需要が増えそうですが、単純に考えて、基地局用のアンテナの需要も増えるのでしょうね。

神様:単純で良い目の付けどころです(笑)。多様化する周波数の特性に対応した通信インフラ構築が課題となる中、移動通信基地局用アンテナ国内シェア4割のトップ企業は、得意とする多周波共用アンテナの需要拡大が見込まれています。

T:他にも周辺分野に色々とチャンスがありそうですね。

神様:その通りです。例えば計測器やテスタといった分野。5G用対応端末、5G基地局電波確認など、5G開発に必要な計測器の受注は増加トレンド入りすることが予想されます。我が国には、モバイル向けを中心として、計測器・通信機器製造販売の世界3強の一角を占める会社があります。このような会社だと国内だけではなく、海外向けも期待できます。

T:それは、注目ですね。

神様:あなたが知らない世界(笑)で、工業用薬剤分野への波及効果も期待できますよ。

T:工業用薬剤ですか?

神様:例えば、5G用プリント基板向け紫外線硬化樹脂といった分野です。どんなものかご自身で少し調べてみるといいですよ。また、同様の一般には知られていない分野を調べてみるのも面白いかもしれませんね。

Tさんは、5Gは産業構造を変え、経済をめざましく変え、様々に波及する分野があるのだなと、その可能性にワクワクしてきました。

(この項終わり。次回6/5「建設業と東京五輪」を掲載予定)

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