兜のささやき兜のささやき

第158話 建設業と東京五輪

2019.06.05

株の神様から投資の極意を教えてもらっているTさんは、お金の話は社会に出てから大切なので、家族にもその内容をわかりやすく伝えています。今では、奥様のA子さん、高校生の長女Y、中学生の長男Sも投資に興味を持つようになりました。東京五輪の話も、投資の話につながるようです。


S:東京五輪サッカーのチケット、申し込み大変だったけど、当たるといいなー。

Y:私のスケートボードは当たる気がする。6月20日が抽選結果発表よね。楽しみ!

A子:ママは、五輪を機に伸びそうな企業の株を買ったから、株価の伸びが楽しみ!

Y:警備会社のようなセキュリティ業界とセメント業界の話をしていたよね。その分野の会社を買ったの? (第153〜154話「東京五輪で期待の投資先」参照)

A子:それも調べて買ったけど、建設業界の会社にも投資しようと思っているの。

S:へー、でも建設業って、競技場のような施設の建設が終わったら、仕事が少なくなるイメージがあるけど、大丈夫なのかな?

Y:パパ、ちゃんとママにアドバイスしているの?

T:もちろんだよ(笑)。建設会社を分析するには、まず、今後どれくらい仕事を持っているかという手持ち工事高や受注高といった指標を見るといいんだけど、建設大手50社の2019年2月末時点の手持ち工事高は、ほぼ前年同月と変わらない16兆5,315億円と高水準を維持している。今後は、東京五輪関連施設や都市再開発など手持ちの大型工事の完成により、売上や利益があがるから、建設各社の業績は底堅く推移すると予測されているよ。

S:えーと、でも心配なのは東京五輪などの手持ちの工事が完成してしまって、その後は大きな仕事がなくなってしまうのでは?ということなんだけど・・・

T:わかるよ。だから受注高という今後の仕事をどれだけ獲得したかという指標を見ると良いのだけれど、国土交通省によると、2018年度(4〜3月)の建設大手50社の建設工事受注総額は前年度比6.5%増の15兆8,590億円と、3年連続で増加したんだ。

A子:中味を見ると、上・下水道や土地造成のような土木系の工事、公共工事は減少しているのだけど、都市部でのビル建て替え、大学校舎の新・増設、医療・福祉施設のような民間の建築工事が増加しているの。それに国内の工事が約15兆2000億円とほとんどなのだけど、海外の工事もシンガポールやインドネシアなどからの受注獲得で前年度比2割近くも伸びて約6,500億円の受注をしたんだって。

S:へぇー、海外の仕事が増えているんだね。

Y:でも、海外の仕事の量は国内に比べるとまだまだ少ないし、去年まで全体で3年連続増加したといっても、来年以降も仕事の獲得量が増え続けるとは限らないでしょ?

T:とても良い指摘だね。今後の見通しで言うと、昨年国内で地震や台風など自然災害が相次いで発生したけれど、その復旧・復興工事だけでなく、防災・減災など国土強靭化のための工事の需要が増えていくことが見込まれる。そこを強化して万一の時にも安全性の高い社会を作ってほしいと応援の意味も含めてパパとママは建設会社に投資を検討しているんだ。

A子:それにね、2025年に開催予定の大阪・関西万博関連施設の工事もきっと増えるでしょ。建設業への期待は東京五輪後も続くと思うのよね。

S:なるほどね!

Y:納得だけど、海外や防災に強い建設会社を選んで投資しないとね!

A子:その通り。なんだかYちゃん、コーチみたいだね(笑)

(この項終わり。次回6/12「自動運転と産業社会の未来」を掲載予定)

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