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第190話 お酒を「飲める」女性が増加 飲酒の多様化が進む

2020.01.29

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は駅前のカフェでコーヒーを飲みながらの投資談義となったようです。


T:1月から2月にかけて、この時期は新年会が続き、お酒を飲む機会が多くなります。最近の若い人たちの中にはこういった飲み会に参加しない人もいるようですが、全体的にお酒を飲む傾向も変化しているのでしょうか?

神様:最近はお酒を飲まない人が増えたと言われていますね。日本の租税収入における酒税収入割合を見ると、明治35年度にはおよそ3割強を占めていましたが、平成30年度では2.2%と、低い割合となっています。

T:昔は酒税の割合が大きく、国の主な財源となっていましたね。

神様:1988年(昭和63年)と2017年(平成29年)の男女の飲酒率の変化を見ると、男性は「飲む」人が減っているのですが、女性は「飲む」人がわずかに増加し、「飲めるが、ほとんど飲まない」人が大幅に増えていることがわかります。

T:「飲める」女性が増えているんですね。女性の社会進出が進み男性と同等に働く人が増えれば、それだけ飲酒の機会も増えることは当然考えられますよね。

神様:一方で、男性は「飲めない」人の割合は変化がないのですが、「飲む」人が減っています。全体として飲酒人口に大きな増減はないかもしれませんが、昔と比べれば飲むシーンや傾向は変化していると言えるのではないでしょうか。

T:女性も、積極的に飲む人が大きく増えているわけではないんですよね。飲料メーカーにとっては、積極的な飲酒機会を作るにはひと工夫が必要ですね。

神様:もう一つ見てみましょう。「場所別飲酒頻度アンケート調査」によると、高齢者ほど、自宅での飲酒回数が多い傾向にあります。最近の節約志向が影響しているようですね。また、若い人ほど新しいお酒へのチャレンジ意欲が高く、銘柄を指定して買わない傾向が明らかになっています。

T:私も自宅で飲むことが多いですし、節約志向についてはよくわかります。

神様:このように、お酒を飲む傾向は多様化が進んでいるのが現状です。その中で、近年の傾向としては、販売価格が多少高くても、少量生産のクラフトビールや、自分へのご褒美としてのプレミアムビールなどが人気です。希少価値やプチ贅沢が消費者から注目されているのですね。

T:昔のような大量生産・大量消費から、こだわりの1杯へとニーズが変化していて、飲料メーカー各社がそのニーズにどのように応えられるのかがポイントですね。オリンピックが始まれば、昨年のラグビーワールドカップ (第172話 経済効果4,372億円 ラグビーW杯は「コト消費」に注目) のときのように、ビールを中心としてお酒の消費にも注目が集まるかもしれません。そのときに、飲料各社からどのようなトレンドが打ち出されるのかにも注目したいですね。

Tさんは、飲酒ニーズの多様化を見据えつつ、東京オリンピック・パラリンピック大会の盛り上がりを想像しながら、積極的な飲酒機会を作るための飲料メーカーや飲食店の工夫について注目してみようと思いました。

(この項終わり。次回2/5「需要回復へ 半導体分野の新ビジネスチャンスに期待」掲載予定)

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