第237話 なぜ?止まらない少子化でも安定の子ども服市場
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、下町を散歩しながら投資談義を行っています。
T:首都圏では再び緊急事態宣言が発令され、成人式の開催が中止になるなど異例の事態が続いています。今年の新成人は前年比で2万人増の124万人。2000年生まれは、いわゆるミレニアムベビーと言われ、出生数が増えたのですよね。
神様:その通りです。しかしその翌年以降は出生数もさらに下がり、2005年には出生率が過去最低の1.25となりました。Tさんは2019年の出生数と出生率はご存知ですか?
T:2019年の出生数は、前年比で5万3,161人減の86万5,239人で過去最低となり、出生率は1.36。毎年100万人を大きく下回る数となっています。
神様:さすが、おっしゃる通りです。政府は、国民の「希望出生率1.8」という目標を掲げ、昨年5月に「少子化社会対策大綱」を閣議決定しました。少子化を改善するには、男性の育児参加などの働き方の見直し、子育て支援サービスの充実、若者の経済的自立など、子どもを生み育てやすい環境づくりが大切です。一方でコロナ禍により、子育て環境の重要さが改めて浮き彫りになったところもありますね。
T:コロナ禍で産後うつを訴える人が増えているそうです。お母さんはウイルスから赤ちゃんや自分を守ることに必死になるだけでなく、外出がしづらかったり、親族や友人が一緒に過ごせる時間も減っています。育児にとって、お母さんが孤立してしまうとても厳しい状況だと思います。
神様:コロナ禍での経験が、今後の子育て環境の改善にも生かされることを願います。日本では1970年半ば以降から出生率が低下し、人口減少、少子高齢化が始まりました。一部の産業や業界では、人口減少に比例して市場規模の縮小が進んでいる状況ですが、急にこの流れを変えるのは非常に難しいでしょう。

T:子どもに関連する事業の市場は軒並み先行きが難しいと考えて良いのでしょうか。
神様:ところが、そうではない業界もあります。例えば、子ども服の国内小売市場を見てみると、2012年以降も安定して推移しているのがわかります。

T:子どもの数が減っているにも関わらず、子ども服市場は横ばいどころか、最近は2012年より伸びていますね。なぜでしょう?
神様:子ども服は値段の高いものを買っても子どもが成長すればすぐに着られなくなります。近年はファストファッションやプチプラと呼ばれる、低価格で良い商品を提供する店舗で買われることが多く、消費者のニーズに合ったものを提供できていることがポイントです。
T:なるほど。高い子ども服を買ってもすぐに着られなくなればもったいないですから、ファストファッションで買えるとうれしいですよね。
神様:また、子ども服は機能的に作られていますが、お尻周りがオムツの膨らみで不格好になっているなど、デザイン面で不満の声が多く上がっていました。あるお店では、オムツを履いても目立たないレギンスと、股下にゆとりのあるサルエルパンツを組み合わせた商品を発売するなど、デザインの良いものが登場しています。最近は親の好みを反映させやすい2歳から5歳の幼児を中心に、大人と同じようなテイスト、トレンドの子ども服が好まれています。今後はよりこのトレンドが広がっていくのではないでしょうか。
T:子どもの成長に合わせて子ども服を買い替える機会は多いですし、今後が楽しみな展開ですね。アパレル業界も近年は市場が縮小傾向ですが、子ども服市場の成長が業界を支える力になるかもしれませんね。
(この項終わり。次回1/27「環境対策は経済成長の鍵 「循環型社会」の実現に必要なこと」掲載予定)
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