兜のささやき兜のささやき

第470話 米国政策金利「利下げ」で注目 高い需要が期待される市場とは?

2025.10.22

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内にあるカフェでコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。


T:10月1日より米国の一部政府機関が閉鎖され、2週間が経ちました。新年度の予算案が議会で可決されなかったことによるものとのことですが、どういうことなのでしょうか?

神様:米国連邦政府は、10月1日から2026会計年度が始まりました。米国政府の予算は議会の承認のもと、予算が成立しなければ支出ができない仕組みになっています。そのため、予算が成立しなければ政府機関は閉鎖されるのです。

T:閉鎖が長引けば世界経済にも影響が出てくるのでしょうか?

神様:政府機関が閉鎖されれば、消費者物価指数などの重要な経済指標の発表も滞ることとなります。米国の経済指標は世界各国にとっても重要な経済指標ですから、影響が懸念されます。米国労働省によれば、10月15日に発表予定であった9月の消費者物価指数は10月24日に公表すると発表されました。雇用統計や企業物価指数など、その他の指標についてはまだ不透明です。短期的には不透明感が高まる展開も見込まれます。しかし、閉鎖期間にもよりますが、過去に閉鎖されたケースを振り返れば経済や株式市場への目立った悪影響は限定的です。9月後半の時点で今回の政府閉鎖はある程度想定されていたこともあり、大きな混乱はないと思われます。

T:これ以上の混乱は避けたいですね。無事予算が成立することを願いたいです。

神様:米国と言えば、もう一つ注目すべきなのは「利下げ」でしょう。利下げとは、中央銀行が政策金利を引き下げることを言います。米国連邦準備制度理事会(FRB)は9月16日、17日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を4.00~4.25%に引き下げました。これまでより0.25%引き下げ、2024年12月以来6会合ぶりの利下げとなりました。FRBは2022年3月から利上げを進め、2023年7月に政策金利が5.25~5.50%に達してからは据え置きを続けました。その後、インフレがピークアウトしたことを受け、2024年には利下げに転換しました。2024年は合計で1%の利下げを行っています。

T:金利が下げられると、どうなるのでしょうか?

神様:金利が下げられると、企業や個人はお金を借りやすくなります

T:お金を借りて支払わなければならない金利が少なくなるわけですね。新たにモノを購入しやすくなり、企業は設備投資がしやすくなりますね。景気が良くなるように行われるわけですね。

神様:その通りです。政府は雇用情勢や景気動向を見て、金利の判断をしています。米国の労働市場は軟化傾向にあり、8月の雇用者数、求人件数はともに減少傾向にありました。

T:報道によれば、年内にあと2回の利下げが行われる見通しのようですが?

神様:翌日物金利スワップ(OIS)市場を見ると、年内に88.5%の確率で2回利下げすると予測されています。7月末時点では年内1回と予測されていましたから、市場の利下げへの期待が高まっていることがわかります。また、9月のFOMCで参加者が今後の政策金利の水準を予測するドットチャートが公開されました。参加者は年内2回の利下げを見込んでいます。来年以降もこの流れは継続するでしょう。

T:このような利下げの状況下で、どのような市場に注目しますか?

神様:利下げによって注目すべきは米国の住宅市場でしょう。利下げによって住宅ローンの金利も下がります。住宅が購入しやすくなるわけですから、住宅市場は活況になります。過去を見ると、1995年7月と1998年9月は景気減速に伴い、同じように利下げが行われました。米国のMBA住宅ローン金利も低下し、米国の住宅市場の大半を占める中古住宅販売件数が上昇しています。

T:今回も同じことが考えられるわけですね。

神様:米国の住宅ではありますが、多くの日本の住宅関連企業が活躍しています。米国の住宅市場の需要の高まりはこれらの企業にとって大きなチャンスとなるでしょう。

T:なるほど。住宅関連企業、注目してみます。

(この項終わり。次回10/29掲載予定)

投資・相続のご相談は
いちよし証券へ

全国の店舗にて、お客様の資産運用や相続についてのご相談を受け付けております。
お客様の人生設計に寄り添いながら、最適なご提案を行います。

PAGE TOP
PAGE TOP