第474話 生成AIの発展に欠かせない半導体「HBM」とは?市場拡大に期待
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、公園で散歩しながら投資談義を行っています。
T:今年も残り1カ月強ですが、年末に向けた株価の動向は気になりますね。
神様:日米株式市場ともにAIを中心としたハイテク株の動向が注目されています。今後もリスクオン姿勢、株式への積極的な買いを行う相場の状況が続くと思われます。
T:来年も生成AIに注目ですね。
神様:生成AIは2022年に登場して以降、人手不足対策や業務効率化の目的で利用されてきました。来年以降、新たなサービス創出を目指した積極的な活用も進んでいくでしょう。

T:日本発のAIサービスにも期待したいところですね。
神様:高市首相が10月24日に行った所信表明演説では「危機管理投資」という言葉が登場しました。「経済安全保障、食料安全保障、エネルギー安全保障、健康医療安全保障、国土強靱化対策などの様々なリスクや社会課題に対し、官民が手を携え先手を打って行う戦略的な投資」であると言及しています。首相は日本成長戦略会議を立ち上げ、AI・半導体、造船、量子、バイオ、航空・宇宙、サイバーセキュリティ等の戦略分野に対して、大胆な投資促進などの支援策を行っていく予定です。
T:AIと半導体はひとまとまりなのですか?
神様:AIの発展と半導体は切っても切れない関係にあります。生成AIにはGPUと呼ばれる、大量のデータを同時に処理することが得意な半導体チップが欠かせません。
T:米国のNVIDIA社が開発したチップですね。
神様:その通りです。さらに、生成AIの能力向上にはHBMと呼ばれるAI向けの広域帯メモリが欠かせません。
T:初めて聞きました。HBMとは何でしょうか?
神様:HBM(広域帯メモリ)は、PCやスマートフォンのメモリに使用されるDRAMを縦に重ねて小型化かつ省電力化したものです。DRAMと同様に一時的なデータの書き込みや読み出しを行うメインメモリの役割を担っています。HBMは縦に重ねることでデータの転送速度が向上し、大量のデータの送受信ができます。また、演算のプロセッサと緊密に統合できることで効率が向上し、生成AIが必要とするディープラーニングを可能としています。
T:演算のプロセッサというのはGPUですか?
神様:おっしゃる通りです。GPUとHBMがともに搭載されることで、生成AIの能力を大きく向上させることができます。
T:もっと高性能なAIが登場するのですね。一体どこまで発展していくのでしょうか。
神様:生成AIの能力向上により、今後はAIエージェントやフィジカルインテリジェンスの発展へとつながっていくでしょう。
T:AIエージェントは聞いたことがありますが、フィジカルインテリジェンスとは何でしょうか?
神様:フィジカルインテリジェンスとは、AIとロボット、IoTなどの機械が融合したシステムを指しています。これまでクラウド上で受け身的に動作してきた生成AIが、半導体などのパーツの性能向上により端末(エッジ)側でも高度なAI処理が行えるようになってきています。それによって、AIエージェントのようにAIがさまざまなタスクを自立して処理できるようになり、さらにはロボットのような身体的機能を獲得することで、現実世界の中で人間の代替として仕事を行えるようになっていくでしょう。
T:なんだかとんでもないイノベーションが起こりそうです。半導体の進歩がAIの発展に深く関わっていることがよくわかりました。
神様:グローバルインフォメーションによると、世界のHBMの市場規模は2024年で25億ドルでしたが、年平均成長率24.2%で拡大し、2030年には92億ドルに達する見込みです。今後のHBM市場のさらなる拡大に期待しましょう。

(この項終わり。次回11/26掲載予定)
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