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第251話 コロナ禍は今が正念場 建設業界の動向を探る

2021.04.28

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、海の見えるカフェで投資談義を行っています。


T:新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、日経平均株価も4月20日には500円超の値下がりとなりました。変異ウイルスによる感染拡大が予想以上に手ごわいですね。

神様:感染が拡大している4都府県では「新型コロナウイルス緊急事態宣言」が発令されました。感染拡大に歯止めがかからない厳しい状況です。

T:東京五輪も開催されるのか心配です。

神様:無事開催されるといいですね。今日は気を取り直して、最近の建設業界の動向を見てみましょう。

T:前回( 第221話 新型コロナの影響は?建設業界の動向を見る )は2020年前半の動向を確認しましたが、コロナ拡大の影響を最初に受けた時期でした。

神様:今回は2020年全体と、2021年1月~2月の動向について見ていきましょう。

T:よろしくお願いします。

神様:まず2020年全体ですが、ご存知のようにコロナ禍の影響を大きく受けました。建設大手50社の建設工事受注総額は、前年比で8.5%減の14兆3,169億円となり2年ぶりの減少。国内では前年比で7.4%減の13兆8,130億円、海外では前年比で31.2%減の5,039億円と、ともに減少しました。

T:業種別で見た場合、建築工事は減少した一方で土木工事は増加傾向だったのですよね。

神様:その通りです。2020年全体で見ても、土木工事の増加傾向は変わりませんでした。土木工事は、道路や電線路などの公共投資が寄与し、前年比で8.6%増の5兆1,443億円と、2年連続で増加となりました。

T:「電線路」というのは、電線、鉄塔や発電所など、電力を運ぶための設備のことですよね。

神様:その通りです。続いて、2021年1~2月を見てみましょう。建設大手50社の建設工事受注総額は、前年同期比で7.5%増の2兆2,936億円と、増加となりました。ワクチン接種が始まったことで経済正常化への期待が高まり、商談が進んだことが影響していると考えられます。建築工事、土木工事ともに受注が回復傾向にあります。

T:経済活動が回復していけば受注も回復していく」というシナリオ通りとなっていますね。

神様:さらに、建設大手50社の2021年1月末の手持ち工事高は前年同月末比で1.5%増の17兆3,720億円と、2020年に続き高水準を維持しています。これがいずれ業績に貢献することになるでしょう。

T:今後のことを考えると、ここ数か月のコロナ対応がとても重要ですね。何としても感染拡大を防ぎ、経済活動の回復を進めなければなりません。

神様:感染拡大をしっかり抑え込むことができれば、今後は都市再開発や国土強靭化、それから2025年開催予定の大阪・関西万博関連施設など、大型工事の受注獲得が期待されます。まさに、今が正念場です。

T:まずは、我々にできる感染対策をしっかりやりましょう。建設業界、そして日本経済の明るい未来のためにも。

(この項終わり。次回5/12「景気“夜明け”はいつ?設備投資で見る景気の先行き」掲載予定)

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