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第287話 景気動向は?鋼材市況が急回復・粗鋼生産量も回復続く

2022.02.02

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、海辺のカフェで投資談義を行っています。


T:首都圏を中心に、オミクロン株の猛威が続いています。一方でオミクロン株に感染した際の症状も明らかになってきました。今後はどこまで感染が拡大するのか気になりますね。

神様:WHOでは、欧州などのパンデミックの終息時期に関する発言も出始めました。

T:いよいよ、コロナ禍から脱する時期が見えてきた、ということでしょうか。

神様:そうなることを願いたいです。さて今回は、景気動向にとっての大切なバロメーターである鋼材市況を見ていきましょう。

T:前回は2021年6月にお話しを聞きました( 第257話 景気動向の重要指標 鋼材市況が上昇・粗鋼生産量も回復進む )。その時と状況は変わっているでしょうか?

神様:基本的には変わっていません。世界的に新型コロナワクチンの接種が進み、経済は正常化に向かい続けています。鋼材の需要も回復しています。前回からの注意としては鋼材市況が急回復している、ということです。

T:急回復ですか?

神様:薄鋼板と棒鋼の価格推移を見るとわかりやすいと思います。東京現物市場の価格(週終値、トン当たり)を見ると、薄鋼板は2020年6月に8.1万円まで下落しました。しかし、2022年1月には14.55万円まで上昇しました。棒鋼も2020年5月に6.5万円まで下落しましたが、2022年1月には9.7万円まで上昇しています。世界経済が正常化を続けていることから、鋼材需要が回復し鉄の主原料である鉄鉱石や原料炭の価格上昇海上運賃の上昇などが続いていることが要因です。

T:そう言えば昨年末あたりから、鋼材価格が高騰しているニュースがありましたね。建設業界などではこの価格高騰が「アイアンショック」と呼ばれています。

神様:粗鋼生産量についても見てみましょう。こちらも引き続き回復しています。国内の粗鋼生産量は2020年6月に前年同月比で36.1%減の562万トンまで落ち込みましたが、前回( 第257話 景気動向の重要指標 鋼材市況が上昇・粗鋼生産量も回復進む )お話した通り、2021年3月に前年同月比で4.6%増の831万トンとなり、13か月ぶりに前年同月比でプラスに転換。その後もプラスが続き、2021年11月は前年同月比で10.7%増の804万トンと、9か月連続で前年同月を上回りました

T:薄鋼板は自動車や家電などに使用され、棒鋼は自動車部品や産業機械などに使用されます。一方で、自動車業界は半導体不足により減産を強いられている状況です。この状況は変わるのでしょうか?

神様:今後、自動車業界での生産が回復し、挽回生産が期待されます。それに伴い鋼材需要も増加するでしょう。

T:ということは、鋼材価格高や粗鋼生産量の回復は今後もしばらく続く、ということでしょうか?

神様:しばらく続くと思われます。2020年中旬以降、世界経済は止まることなく正常化への道を歩み続けました。コロナ禍はようやく出口が見えようとしています。今後もこの流れが続き、経済の活発化が進んでいくでしょう。

T:2022年・寅年らしい勢いのある経済活動に期待したいですね。

(この項終わり。次回2/9「高い成長を期待「脱炭素」市場に熱い視線」掲載予定)

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