第286話 運びたくても運べない?トラックドライバー「2024年問題」とは?

2022.01.26

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、公園を散歩しながら投資談義を行っています。


T:全国で新型コロナウイルスの感染者数が増えてきたこともあり、私はまたテレワーク勤務になりました。

神様:3年目ともなると慣れたものでしょう。全ての業務をリモートで行う企業も増えています。働き方改革にとっては良いことですね。

T:コロナ禍が収束しても、業界によっては変わらず全てリモートで行う企業も増えてくるでしょうね。

神様:まさに業界によっては、です。物流業界にとってはそれが通用しません。Tさんは、物流業界の「2024年問題」をご存知ですか?

T:どこかで聞いたことがあるようですが、どんな問題でしょうか?

神様:2019年の働き方改革関連法により、残業時間が厳しく制限されるようになりました。現在は年間の時間外労働時間は960時間を超えないという規制が設けられています。しかし、トラックドライバーなどの自動車の運転に従事する業務については、実情に合わないため猶予期間が設けられました。その期限が2024年4月なのです。

T:つまり、2024年4月からはトラックドライバーなどでも、年間の時間外労働時間960時間の制限が適用される、ということですか。

神様:そうです。まず始めに、960時間がどのくらいの残業時間なのかを見てみましょう。これは、1か月の労働日数を22日とした場合、おおよそ1日の残業時間が3~4時間の間で、毎日残業した場合の年間の残業時間に相当します。9時出勤で18時が定時の場合は、毎日21時過ぎごろまで働いた、と考えるとわかりやすいと思います。

T:この時間を超えると罰則があるわけですね。

神様:その通りです。さて、物流業務は繁忙期と閑散期の差が大きいと言われています。厚生労働省によると、トラックドライバーの平均的な年間の時間外労働時間は372~420時間とされており、平均時間で年間を計算すれば規制内に収まります。

T:いやいや、業種にもよるのでしょうが、最近は宅配便も急増( 第269話 「年間50億個」目前 コロナ禍で宅配便が好調 )していますし、人手不足でさらに忙しく、時間外労働はもっと多いと思いますが。

神様:その通りで、通常期の1日の時間外労働時間で見ると、4時間超~7時間以下と7時間超の割合の合計が18.3%もあるのです。このことを考えて仮に1日当たりの時間外労働時間を4時間と考えると、どうなりますか?

T:年間の時間外労働は1,056時間となってオーバーしますね。しっかり工夫して効率よく動かないと「運びたくても運べない」状況が生まれるわけですね。

神様:それが2024年問題です。ドライバー個々の取り組みもそうですが、物流企業に、ドライバーの業務管理や時間配分を適切に執行できる能力が求められます。今後はドライバーの需給がさらに増加するとみられます。また、時間外割増賃金の引き上げも想定されます。経営体力に劣る物流企業は淘汰され、M&Aが進むことも考えられるでしょう。

T:なかなか厳しい状況ですね。

神様:しかし、これまで物流の効率化を推進し、物流改革に取り組んできた有力企業にとってはビジネスチャンスです。今後は、さらなる物流改革を進めるための工夫、ドライバーにとって働きやすい環境の整備など( 第183話 長時間労働・低賃金…物流で進む働き方改革 )が加速する可能性もあります。ここはぜひ、2024年問題をチャンスと捉えていきましょう。

(この項終わり。次回2/2「景気動向は?鋼材市況が急回復・粗鋼生産量も回復続く」掲載予定)

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