第285話 増える自然災害 火災保険料が値上げ・長期保険見直しへ

2022.01.19

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内のカフェで投資談義を行っています。


T:2020年から始まったコロナ禍も3年目です。年明けから感染者数が急激に増加していますが、今年はパンデミックの収束に向かっていきたいところですね。

神様:その通りですね。向き合わなければならない現実は新型コロナウイルスの他にもたくさんあります。さて昨年、自然災害の規模や頻度が年々大きくなっている( 第278話 自然災害「大きく・多くなった」 ニーズ高まる災害予防・対策企業 )ことについてお話しましたが、覚えていますか?

T:はい。今後は私たちが事前の防災・減災対策に取り組むためにも、災害予防や社会資本整備に関する企業の活躍が見込まれるとのお話でした。

神様:今回はそれに関連したお話をします。2021年6月16日、損害保険会社で作る損害保険料率算出機構は、個人向けの火災保険(住宅総合保険)の参考純率を全国平均で10.9%引き上げることを発表しました。これは過去最大の引き上げです。

T:参考純率とは何でしょうか?

神様:参考純率とは、事故が発生したときに、保険会社が支払う保険金の参考数値のことです。損害保険料率算出機構は保険会社から収集した契約・支払データなどを活用し、合理的な手法によって火災保険の参考純率を算出します。保険会社はそれを使って自社の保険料率を算出します。参考純率が引き上げられることによって、火災保険料が値上げされることが見込まれます。

T:背景にはやはり、自然災害の増加があるのでしょうか?

神様:火災保険は、火災による損害だけでなく、ニーズに応じて自然災害や日常生活における事故など幅広く補償されるような保険も用意されています。損害保険料率算出機構では、2019年にも大規模な自然災害の影響を踏まえ参考純率を引き上げていますが、その後も引き続き災害が発生し、リスクが一層高まっている状況です。

T:台風や豪雨など、過去にない大規模な自然災害が毎年のように起こっている印象です。支払われる保険金も高額になっていますね。

神様:これらの自然災害によるリスクは今後も大きく変化していく見込みです。それは長期的な予測が難しくなることを意味しています。損害保険料率算出機構は火災保険の参考純率が適用できる期間を最長5年とし、現行の最大10年から短縮することを発表しました。これにより、割安だった長期保険が見直されることとなります。

T:地球温暖化の影響により、今後さらに大規模な自然災害が高い頻度で発生することも考えなければいけない、ということですね。

神様:もう一つのポイントは、住宅のリスクについてです。日本全国で古い住宅が増え続けています。例えば、2018年度の築30年以上の住宅の割合は2014年度比で6.0%上昇しています。築年数が古い住宅は電気や排水設備等の老朽化による影響で、火災や台風、雪による損壊リスクが相対的に高くなります。参考純率にはこのリスクも反映されています。

T:火災保険料が高くなるからと言って、災害への備えとして加入しないわけにはいきません。逆に言えば、各火災保険会社にとっては、駆込み需要や割安な長期契約がなくなることにより、長期的な業績の拡大が期待できるとも言えますね。

神様:以前、保険業界のDX推進についてお話しました( 第273話 少子高齢化で急がれる保険業界のDX )が、これは火災保険業界にも言えることです。各火災保険会社には生保業界と同じく、業務・サービス改革による新しい価値の提供を期待したいですね。

(この項終わり。次回1/26「運びたくても運べない?トラックドライバー「2024年問題」とは?」掲載予定)

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