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第278話 自然災害「大きく・多くなった」 ニーズ高まる災害予防・対策企業

2021.11.24

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内のホテルのラウンジで投資談義を行っています。


神様:10月31日から11月13日まで、英国のグラスゴーで国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が開催されました。どのようなことが合意されたかご存知ですか?

T:はい。会議では、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べ1.5度に抑える努力を追求することなどを定めた「パリ協定」について、石炭火力発電の段階的な削減などを盛り込んだ「グラスゴー合意」が採択されたほか、パリ協定の実施に当たってのルールブックも完成しました。会議に参加した岸田首相も、今後の2030年までを「勝負の10年間」とし、平均気温上昇を1.5度以内に抑える目標を達成するために、対策を強化していくことを表明しています。

神様:まさに、地球温暖化問題にとってこれからが勝負の10年間になるでしょう。パリ協定は、先進国だけでなく急速に経済発展を遂げている途上国を含むすべての参加国に温室効果ガスの排出削減に取り組むことを求めています。現在排出量で1位である中国や3位のインド、4位のロシアも参加国です。また、米国はバイデン大統領のもと、パリ協定に復帰したことも話題となりました。

T:世界の主要温室効果ガス排出国がそろい、今後の目標達成への取り組みが注目されますね。

神様:その通りです。しかし、何度もお伝えしているように、地球温暖化問題は世界的な利害が絡む問題ですし、努力がすぐに効果として表れるわけではありません。

T:気温の上昇やそれに伴う自然環境の変化はすぐには止められない、ということですね。

神様:こんな調査があります。国土交通省の調べによると、2019年に氾濫危険水位を超過した河川は2014年の約5倍でした。また、2010年から2019年でみた50㎜/h以上の短時間強雨の年間発生件数は、1976年から1985年に対して約1.4倍に増加しました。さらに、2021年1月・2月に全国の18歳以上の1万人を対象にアンケートを実施したところ、10年ほど前との自然災害発生件数や規模の感じ方について「大きくなった」と回答した人が件数・規模のどちらについても60%を超えました

T:私も、10年前に比べて自然災害の規模が大きくなり、頻度も多くなっているように感じています。

神様:自然災害の激甚化・頻発化の背景には、地球温暖化の進行があると考えられています。今、日本は2050年までに二酸化炭素排出の「実質ゼロ」を目指しています。COP26の合意はとても勇気づけられるものですが、その道のりは険しく遠いものです。

T:それゆえに、いざ災害が発生したときには、命を守るための災害対策が大切になりますね。

神様:その通りです。自然災害の発生を予測することは難しいです。しかし、事前の防災・減災対策に取り組むことは可能です。今後はこの点がより大切になってきます。特に、これからは建設から50年以上が経過する施設が加速度的に増加する見込みです。道路、橋、トンネル、河川の管理施設、下水道の管きょ、港湾など、老朽化が進む各種の社会資本をメンテナンスしていく必要があるでしょう。

T:そう言えば、10月に東京都内で震度5強の地震があったとき、各地で水道管の破裂や道路の冠水がありました。いざ災害が発生したときに、想定外の被害が起こる可能性を身近に感じました。

神様:豪雨などの気象災害だけでなく、南海トラフ地震や首都直下地震などの大規模な地震の発生も切迫しています。政府は昨年、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を閣議決定し、政府全体で15兆円規模の事業を進めています。災害予防や社会資本整備に関する企業の活躍が見込まれます

T:今話題となっている海底火山の噴火による軽石の除去対策も悩ましい問題ですよね。今後はこういった災害予防や災害発生対応に強い企業の社会的なニーズが高まるのかもしれません。しっかり注目していきたいと思います。

(この項終わり。次回12/1「小学6年生の約半数が視力1.0未満…子どもの近視予防に関心」掲載予定)

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