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第277話 コロナ禍で成長加速するQRコード決済 今後の注目ポイントは?

2021.11.17

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、落ち葉が積もる公園を散歩しながら投資談義を行っています。


T:全国的に新型コロナ感染者数が少ない状態が続いています。冬の第6波が気になるところですが、今後は「Go To トラベル」などの観光支援事業も再開される予定です。

神様:首都圏などでは平日・休日ともに人出が増えていますし、今後はアフターコロナを見据えた消費者の経済活動が活発になっていくと思われます。

T:今後もこのまま感染者数が増えないことを願いたいところです。

神様:今日は、消費活動で活躍する「キャッシュレス決済」、特に「QRコード決済」について見ていきましょう。

T:キャッシュレス決済と言えば、政府は日本のキャッシュレス決済を2025年までに4割まで普及させるという目標を掲げています( 第165話 QRコード決済の普及を左右するのは…? )。この目標は達成できそうなのでしょうか。

神様:キャッシュレス決済比率を見ると、2019年には27%を超え、2020年には30%に近づいているようです。目標達成は望めるとしても、海外と比較した場合は40%でもまだまだ遅れている状況です。経済産業省は2018年、日本のキャッシュレス社会のあり方、方向性や具体的な方策などをまとめた「キャッシュレス・ビジョン」を公表し、キャッシュレス決済の普及を後押ししてきました。経産省がまとめたキャッシュレス決済導入状況を見てみると、クレジットカードとともにQRコード決済の導入が進んでいることがわかります。

T:QRコード決済は、導入する側にとって他のキャッシュレス決済より導入費用が安いことがメリットですよね。

神様:その通りです。これまで決済事業者は、加盟店に対して決済手数料の無料化を打ち出すことで導入を促進してきました。その結果、交通系などの電子マネーと比べて高い導入率となっています。

T:飲食店などで、交通系電子マネーは使えないがQRコード決済は使えるお店があるのは、そういう理由もあったのですね。

神様:矢野経済研究所によると、2020年度のコード決済市場は6兆1,216億円と推計されています。2025年度には12兆3,976億円まで拡大すると予測しており、今後も年率15.2%の成長が見込まれています。背景には、コロナ禍でのタッチレス・非接触需要の高まりがあります。コロナ禍も市場の成長を加速させていると言えるでしょう。

T:コロナ禍前は、現金に触れずに会計を済ませられるかどうかなど気にするとは思いもしませんでした。ところで、最近のQRコード決済ではアプリから決済以外のいろいろなサービスを利用できるようになっていますよね。

神様:多くの利用者を得ることができれば、QRコード決済アプリを入り口として決済以外のサービス機能を搭載し、日常生活のさまざまな場面で活用してもらえるようになります。いわゆる「スーパーアプリ」と言われますが、実際にスーパーアプリ化を目指している事業者もあります。

T:日常生活で欠かせないインフラのように使ってもらえれば、収益化もしやすいですよね。

神様:まさにその通りで、今後のQRコード決済事業のポイントは「収益化」にあると言えます。QRコード決済市場で高いシェアを誇る、とあるサービスでは、中小個店への決済手数料の有料化に踏み切りました。手数料は厳しい価格競争にさらされています。スーパーアプリ化など、今後キャッシュレス決済比率が4割を超えてさらに高い割合を目指していく中で、各決済事業者がどのような収益化戦略を進めるのかにも注目しましょう。

※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

(この項終わり。次回11/24「自然災害「大きく・多くなった」 ニーズ高まる災害予防・対策企業」掲載予定)

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