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第294話 高齢者5人に1人が認知症に 活躍期待される医薬品業界

2022.03.23

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、海の見えるカフェで投資談義を行っています。


T:ロシアによるウクライナへの攻撃が激しさを増しています。日経平均株価も3月9日の取引時間中に2万4,681円まで下落するなど、値動きの大きい展開が続いています。

神様:その一方で、コロナ禍関連では3月21日、全国のまん延防止措置が解除されました。3回目のワクチン接種も進み、まだまだ警戒が必要ですが良いニュースです。ウクライナ情勢ではロシアとウクライナでの停戦交渉が続いています。協議がうまくまとまり、経済が安定・活性化していくことを期待したいところです。

T:本当に、一刻も早く平和な世界が取り戻されることを願います。

神様:さて、今日は認知症の話をしましょう。Tさんは「平均寿命」と「平均余命」の違いはわかりますか?

T:平均寿命はその年に生まれた0歳児が平均で何歳まで生きられるかを表したもので、平均余命はその年の各年齢の人が平均であと何年生きられるかを表したものですね。

神様:はい、その通りです。厚生労働省では毎年「簡易生命表」を公表しています。これは、日本にいる日本人について1年間の死亡状況が今後変化しないと仮定したときに、各年齢の人が1年以内に死亡する確率や平均してあと何年生きられるかという期待値などを、死亡率や平均余命などの指標によって表したものです。令和2年の簡易生命表によると、男性の平均寿命は81.64年、女性の平均寿命は87.74年となり、前年と比べて男性は0.22年、女性は0.30年上回りました。

T:50代の私の平均余命はだいたい30年くらいで、平均で83歳くらいまで生きられることになります。年齢が高いほど、実年齢に平均余命を足した年齢は100歳に近づきます。まさに今、私たちは人生100年時代に向かっているのですね。

神様:長く生きられるようになった一方で、高齢者を中心に関心を集めているのが「認知症」です。認知症とはどのような症状か、ご存知ですか?

T:認知症とは、これまで身に付けてきた知識や技術などが何らかの原因によって低下し、社会生活や家庭生活、仕事などに支障がある状態のことです。

神様:そうですね。厚労省は、2025年には65歳以上の5人に1人に当たる730万人が認知症にかかると推計しています。重要なのは加齢による物忘れとは違う点です。加齢による物忘れであれば、体験の一部を忘れてもヒントがあれば思い出すことができます。また、時間や場所も正しく認識できます。一方で認知症は、症状が進むと体験したこと自体を認識できず、自分がどこにいるかわからなくなったり、思考スピードが低下して混乱したり、物事をスムーズに進められなくなったり、感情表現にも変化が現れます。日常生活に支障をきたし、元気がなくなったりうつ状態になったりもします。

T:大変な病気ですね。認知症にもいくつか種類があり、アルツハイマー型認知症が最も多いのですよね。

神様:はい。認知症の種類別では、脳の神経細胞の変性や脱落により発症するアルツハイマー型が全体の67.6%を占めます。その他には、脳血管障害により発症する脳血管性認知症が19.5%、脳の広い範囲に「レビー小体」という特殊なたんぱく質が生じることにより発症するレビー小体型認知症が4.3%を占めます。根本治療については研究途上ですが、アルツハイマー型や脳血管性認知症は、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病と関連があることがわかってきました。

T:え、そうなんですか?生活習慣の改善で予防できる可能性があるということですか。

神様:そういうことです。食事のバランスに気をつけ運動習慣を身につけるなど普段からの生活管理が認知症の予防につながると言えます。また、早期の段階で認知症に気づき、適切な治療を受けられれば、薬で認知症の進行を遅らせることもできるようになってきました。日本の各製薬企業では、欧米の製薬企業と積極的に認知症治療薬の研究開発を進めています。今、国内で臨床試験を行っているほか、すでに販売されている治療薬もあります。今後さらなる高齢化により需要も高まっていくでしょう。

T:なるほど。素晴らしい医療の進歩ですね。日本の製薬企業に期待したいと思います。そして私も、生活習慣の改善でしっかり認知症予防に取り組んでいきます。

(この項終わり。次回3/30「惣菜売上が好調 「勝ち組」スーパーマーケットの条件とは」掲載予定)

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