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第311話 「ものづくり」支える工作機械の受注好調続く 今後の動向は?

2022.07.27

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内ホテルのラウンジで投資談義を行っています。


T:日本で新型コロナの1日の感染者数が19万人を超え、過去最多を更新しました。世界的にワクチン接種が進み、経済活動が回復へ向かう中、まだまだコロナとの戦いは終わりそうにありません。

神様:感染者数は多いですが、行動制限がない状況ですから、今年の夏休みは久しぶりに行楽に出かける人も多いと思います。症状は風邪に近づいているとも言われています。しっかりとした感染対策を継続し、日常を取り戻していきたいところです。

T:本当にそうですね。私も少しずつ日常が戻りつつあることを実感しています。

神様:さて、今日は「工作機械」についてお話します。コロナ禍以降、工作機械の受注が好調です。Tさんは工作機械とは何か、ご存知ですか?

T:金属を削ったり、穴をあけるときなどに使用される、ものづくりに必要不可欠な“機械を作るための機械”ですね。

神様:その通りです。工作機械とは、スマホや時計、自動車や航空機、さらには人工関節といったものまで、金属を「機械部品を必要とする形状・精度に効率よく加工する」ために必要となる機械のことを言います。日本工作機械工業会によると、2022年6月の工作機械受注額(速報値)は1,546億円となりました。前年同月比では17.1%の増加で、20か月連続の増加となりました。そのうち内需、つまり国内向けの需要が前年同月比で31.3%増の586億円と16か月連続の増加、そして外需、つまり国外向けの需要が前年同月比で9.9%増の960億円と20か月連続での増加となりました。

T:2020年5月以降、右肩上がりで上昇し続けていますね。2022年に入るとコロナ禍前の2019年を上回っています。受注が増えた背景には何があるのでしょうか?

神様:内需では、半導体不足の解消に向けた半導体製造装置関連の投資が主な要因です。また外需では、環境対応の電気自動車(EV)関連の投資や資源・エネルギー価格上昇による建設機械関連の投資などが要因です。工作機械の外需国・地域別受注額上位の2022年1月から5月までの累計出荷額(確報値)を見てみましょう。主な外需国・地域としては、中国、米国、ドイツ、イタリア、台湾が挙げられます。中国を除いた上位4か国・地域で、前年同期を上回りました。

T:中国は、上海のロックダウンなどのゼロコロナ政策が響いているということですか?

神様:そう言えるでしょう。しかし、コロナ禍前の2019年と比較すると、2022年は上位5か国・地域すべてで上回る結果となっています。今後の需要のことを考えれば、さらに伸びることも考えられます。

T:内需では半導体の需給ギャップが落ち着いたら、工作機械の受注にも影響がありますか?

神様:今後は、内需では人手不足に対応した自動化・省人化への投資で需要が見込まれます。外需では、EV関連の投資の加速や脱炭素に対応した機械設備でも需要が見込まれます。今後も受注好調が続くと思われます。

T:関連企業の活躍が期待されますね。

神様:日本には、自動車や航空機向けに、工具を自動で選択・交換でき、穴あけや面削りなどの複数の加工を一台でこなす「マシニングセンター(MC)」やコンピューター数値制御(CNC)旋盤などに強みを持つ企業が多数あります。工場の自動化、ファクトリーオートメーション(FA)にとっても、工作機械は欠かせません。活躍に期待しましょう。

(この項終わり。次回8/3「コロナ禍・原材料価格上昇・円安…外食産業の打開策は?」掲載予定)

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