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第314話 “値上げラッシュ“をチャンスに スーパーで注目される「PB商品」

2022.08.17

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内のオフィス街にあるカフェで投資談義を行っています。


神様:8月10日に、7月の米国消費者物価指数が発表されました。直近の数カ月では市場予想を上回る上昇率を示し、インフレ対策としてFRBによる金融引き締め強化への警戒感が強まっていましたが、今回は市場予想を下回る結果となりました。しかし、物価高はしばらく続く見込みです。

T:世界的なインフレが緩和する方向に進むと良いですね。日本の物価高騰はどうでしょうか?

神様:7月22日に発表された、6月の日本の消費者物価指数は、天候による変動が大きい生鮮食品を除いたベースで、前年同月比で2.2%の上昇となりました。これは、政府・日銀が目標としてきた「2%上昇」を3カ月連続で超過した結果となりました。これまで、物価高騰の要因としては新型コロナウイルス感染に伴う商流の分断、そしてロシアのウクライナへの軍事進攻がありましたが、それに加えて円安の影響も出ていると思われます。

T:食料品を中心に値上げラッシュが続いていますが、まだしばらくは続くのでしょうか?

神様:帝国データバンクによる、食品の主要105社に対する調査によると、2022年1月から7月にかけて、実に8,058品目が値上げされました。8月以降も値上げが続く見通しです。2022年の累計では1万8,532品目の値上げが予定されています。商品の値上げ率を見てみると、平均で14%に及びます。

T:これまで値上げされた数の倍以上の品目の値上げが今年中に行われる予定ということですね。消費者の購買動向にも変化がありそうですね。

神様:その通りです。日々の生活費を抑えるために、安く良いものを購入したい消費者にとって、注目されるのはプライベートブランド(PB)商品でしょう。Tさんは、PB商品とは何か、ご存知ですよね?

T:メーカーの商品として製造され、小売チェーン等で販売されるナショナルブランド(NB)に対して、PB商品は、大手小売チェーンが主体となって独自の商品を企画し、メーカーとの共同開発などにより製造・販売される商品のことです。

神様:そうですね。小売チェーン店が大量一括仕入れを背景にメーカーに働きかけることで、小売チェーン店側は商品を安く仕入れることが可能となります。その分、安い価格で販売することができます。また、商品の機能面で独自性を加えることで、より販売現場の消費者のニーズをとらえた商品を提供し、他社との差別化を図ることも可能となります。高い付加価値の独自商品を提供できれば、高い利益率で販売でき、小売チェーン店にとって大きなメリットとなります。

T:しかし一方で、ニーズを的確に捉えなければ在庫を抱えることにもなりますから、商品開発力が問われるところですね。

神様:おっしゃる通りです。昨今では食品だけでなく、ホームセンター、ドラッグストア、自転車、子ども服、土木等の作業用品など、様々なPB商品が提供されています。例えば自転車は、コロナ禍で需要が拡大しました。その後反動がありましたが、電動アシスト自転車は継続して売上が増大しています。ある企業では、高単価で高機能のPB自転車の開発により、差別化と利益率向上を図っています。

T:スーパーマーケットは、PB商品をうまく活用することで、消費者の家計を助ける価値を提供することができます。値上げラッシュを顧客獲得のチャンスとしたいところですね。

神様:「スーパーマーケット年次統計調査」によると、2021年時点で約70%近くのスーパーマーケットが「PB商品を取り扱っている」と回答しています。Tさんのおっしゃる通り、値上げの機会はチャンスでもあります。商品開発力のある大型チェーン店を中心に、PB商品をどのように活用していくか、戦略に期待しましょう。

(この項終わり。次回8/24「旅行は「近場で体験重視」 国内旅行の回復に期待」掲載予定)

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