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第320話 「家庭用エコキュート」が出荷好調 省エネで注目される理由

2022.09.28

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都心にあるカフェで投資談義を行っています。


T:台風が去り、東京は一気に秋らしい気候になってきました。気象庁は9月20日、12月から来年2月までの季節予報を発表しましたが、今冬の気温は平年並みか平年より低くなるそうです。

神様:冬は電力不足問題が控えています。また、燃料価格の高騰により、家庭では光熱費の増加も心配なところでしょう。政府は、電力会社の節電要請に応じて節電を実施した家庭等に対し、2,000円相当のポイントや特典を付与する「節電プログラム」を実施しています。家庭での節電意識もさらに高まっていますが、近年はある家庭用機器が注目を浴びるようになってきました。今日はそのお話をしましょう。Tさんは「エコキュート」をご存知ですか?

T:はい。私の家でも使っています。省エネの給湯機ですよね。

神様:さすがです。ではそれがなぜ省エネになるのか、説明できますか?

T:お湯を沸かすのに、他の給湯機より電気代やガス代が節約できることは知っていますが、詳しい仕組みについては勉強不足です。

神様:エコキュートは、CO₂を冷媒としたヒートポンプ給湯器のことを言います。冷媒を介して空気中の熱を吸収し、その熱を利用してお湯を沸かすシステムです。これまでも給湯器には電気やガスでお湯を沸かすものがありましたが、エコキュートでは空気中の熱を吸収するために電気を使います。使用する電気エネルギーに対して約3倍の熱エネルギーを得られるため、省エネとなり、さらに、お湯を沸かすために燃焼することもないため排気もありません。温室効果ガスの排出も抑制できます。

T:まさに、環境に優しい給湯機ですね。

神様:それではTさんにお聞きしましょう。日本の1年間の世帯あたりの用途別エネルギー消費のうち、「給湯」「暖房」「冷房」の中で最もエネルギー消費の割合が大きいものは何でしょうか?

T:冷暖房のエネルギー消費はかなり大きいですよね。冷房と暖房では暖房の方が大きいでしょうから「暖房」ですか?

神様:正解は「給湯」です。

T:え、給湯が冷房や暖房より大きいのですか?

神様:「エネルギー白書 2022」によると、2020年度の国内の世帯当たりの用途別エネルギー消費で最も大きいのは「家電機器の使用等」で34.0%、次に大きいのが「給湯」で27.8%、その次が「暖房」で25.1%でした。

T:考えてみれば、日常生活では1年間を通してお湯を必要としますから、消費エネルギーも大きくなりますね。私にとっては意外な盲点でした。

神様:そこで、家庭での省エネの方法として給湯機が注目されています。日本冷凍空調工業会によると、2021年度の家庭用エコキュートの国内出荷台数は、前年度比で12.5%増となる60.7万台と、6年連続で前年度を上回りました。2015年度から出荷台数が右肩上がりで伸び続けています。家庭用エコキュートが本格普及したのは2004年から2006年頃です。現在、その頃に購入された製品が寿命を迎えており、買い替え需要が発生していると考えられます。

T:今後も出荷台数増は続きそうでしょうか?

神様:2022年4月から7月の家庭用エコキュートの出荷台数を見ると、前年同期比で18.1%増の22.7万台と好調です。2022年度もエコキュートの出荷増が続くと見られます。

T:なるほど。家庭用エコキュートは他の給湯機に比べて機器の購入や取付工事などで初期費用は高いのですが、給湯に昼間よりも割安な夜間電力を使用することもできますし、長期的に見ると光熱費を低減することができます。エコキュートに限らず、今後はますます省エネ製品が注目を集めそうですね。

(この項終わり。次回10/12「“人への投資“で重要性増す「ワーク・エンゲージメント」とは?」掲載予定)

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