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第326話 飲酒習慣に変化 ノンアルコール飲料が売れている理由とは

2022.11.16

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内のカフェで投資談義を行っています。


T:お鍋やお酒がおいしい季節になってきました。しかし、新型コロナは第8波の入口に来ていると言われています。今年も、忘年会を控える人が多いかもしれませんね。先日は島根県の丸山知事が「忘年会を11月中に実施して」と呼び掛けたことが報道され、話題となりました。第8波のことを考えると、忘年会の時期を分散した方が良いのかもしれません。

神様:コロナによる行動制限はありませんが、国内の飲食店をめぐっては依然として厳しい状況が続いています。コロナ禍により外食産業は大きな変化の中にあります。しかし、以前お話しした通り( 第312話 コロナ禍・原材料価格上昇・円安…外食産業の打開策は? )、海外事業を展開している外食企業にとってはコロナ禍や円安といった状況はチャンスとなります。

T:世界の人口が増加する中、経済成長率の見通しも日本より相対的に高く、日本の外食企業は海外展開を加速しているとのことでしたね。

神様:一方で国内では、飲酒の習慣にある変化が起こっています。今日はそれをご紹介しましょう。Tさんは「ソバーキュリアス」という言葉をご存知ですか?

T:初めて耳にしました。それは何でしょうか?

神様:お酒を飲むことはできるが、あえて控える」文化を指して「ソバーキュリアス」と呼ばれています。「Sober」は訳すと「しらふ」、「Curious」は「好奇心旺盛な、興味深い」です。お酒が飲めないのではなく、積極的に「飲まない」という選択をする人たちが、若い世代を中心に増えてきています。

T:わかる気がします。私の周りでも、健康を意識してお酒を飲まない人が増えていることを感じますから。

神様:もともと欧米から広がってきた文化ですが、過剰な飲酒は生活習慣病につながることから、英国やオーストラリアでは、政策の一環として「禁酒推進月間」を設けています。日本ではと言いますと、ノンアルコール飲料市場が拡大しているところです。

T:確かに、ノンアルコール飲料を飲む人が増えていますね。

神様:2020年2-3月と比べてノンアルコール飲料を飲む量が増えた人に、生活の変化を尋ねたアンケートがあります。その結果から推察すると、コロナ禍による在宅勤務などで外出の機会が減り、運動不足でアルコールに対する考え方が変わった人が多い様子がわかります。ノンアルコール飲料市場の推移を見ると、2021年は前年に比べて大きく伸びる見込みです。

T:ノンアルコール飲料は、そもそもは2009年6月に施行された改正道路交通法により、飲酒運転への罰則が強化されたことに伴い、飲酒運転違反への関心が高まったときに発売されたことを覚えています。あれから10年以上が経ちましたが、健康志向など用途が広がり、さらに新たな習慣の中で主役となりつつありますね。

神様:大手飲料メーカーも数多くのノンアルコール飲料を発売しています。それだけでなく、自分の体質、気分やシーンにあわせて、適切なお酒やノンアルコール飲料をスマートに選択できる飲み方を指す「スマートドリンキング」を推奨するようになりました。現在は、飲酒運転を防ぐためにノンアルコールビールを飲むという選ばれ方から、より前向きに選択される時代に変化したと言えるでしょう。

T:お酒をめぐる習慣の多様化が進み、今後もノンアルコール飲料のニーズは高そうです。関連企業の活躍に期待したいと思います。

(この項終わり。次回11/23「コロナ禍のアパレル業界 カジュアル衣料品に回復の兆し」掲載予定)

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