第325話 円安・訪日外国人の復活もプラスに リユース市場の拡大続く
株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、海の見えるカフェで投資談義を行っています。
T:10月28日、岸田首相は記者会見を行い、閣議決定した「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」について、国民に向けて説明しました。電気代の2割引下げやガソリン価格の抑制など、平均的な一家庭で来年前半に総額4万5,000円を支援することなどを盛り込み、来年にかけて消費者物価を1.2%以上引き下げることを掲げました。
神様:物価高を抑えながら、円安のメリットを活かすことにも触れられていました。これまで国内企業にとって円安は、輸入原材料価格上昇などのネガティブな影響のみが強調されていました。しかし、製造業の決算内容を見ると、円安がもたらす価格優位性に立脚した販売競争力の強化など、ポジティブな側面も明らかになっています。また、消費、レジャーや移動手段などに関連する企業は、経済活動の再開の追い風に加えて円安を背景としたインバウンド需要の恩恵も見込まれます。
T:しかし、これから電気代などのエネルギー価格がさらに値上げされ、物価高はしばらく続きそうですね。安く買い物ができて、物品をお金に換えられるという点を考えると、以前お話を聞いたリユース市場( 第300話 拡大続く「リユース市場」要因と今後の見通しは? )などは、今後さらに伸びるのでしょうか?
神様:なるほど。確かに伸びる可能性はありますね。リユース市場規模は2020年に2兆4,169億円となり、2009年以降11年連続の拡大となりました。その背景には、SDGsなどの環境意識の高まりや、インターネットオークションやフリマアプリなどが多く利用され、CtoC、つまり個人間取引分野の市場規模が1兆円を超えたことなども影響しています。

T:コロナ禍の自粛期間中に家で過ごす時間が増え、自宅で快適に過ごすために不用品の整理をした人が増えたのでしたね。SDGsへの意識の高まりもあり、それらの不用品をリユースショップに持ち込む人が増加したということでした。
神様:その通りです。コロナ禍では、主にインターネット取引が伸びたと言えるでしょう。インターネットオークションやフリマアプリなどのCtoCネット取引では、自分で出品し、自由に値付けして販売できることから多くの利用者を生み、現在はリユース市場規模の4割を占めています。一方で、実店舗はインバウンド需要の縮小などにより販売は不振でした。

T:訪日外国人観光客の復活により、インバウンド需要が復活するかもしれませんね。外国人にとっては、円安で家電等を安く買えるのもプラスになるでしょう。
神様:その通りです。それだけでなく、実店舗での買取にもメリットがあります。物品の売却側にとってCtoCのネット取引は、取引が成立しない場合は品物がいつまでも自宅に残り続けるというデメリットがあります。しかし、実店舗では値段が付かない不用品も引き取ってもらえる場合があります。最近では店舗で中古家電の買取を行う家電量販店もあります。そういった店舗に注目してみると面白いかもしれません。
T:なるほど。家電量販店にとっては、ある程度の期間の保証とあわせて商品を販売することで、購入者も安心して使用できるメリットがありますからね。
神様:円安や物価高は、現在の短期的な面でありますが、長期的に見てもリユース市場は拡大が続くでしょう。使い捨てではなく、一つの製品を長く使うことはエコにつながります。リユース市場は、持ち物を長く使うだけでなく、ある時はお金に換え、ある時は割安に購入するという経済合理性があり、また、再利用という環境配慮をも満たしています。今後のリユース・中古市場に期待したいところです。
(この項終わり。次回11/16「飲酒習慣に変化 ノンアルコール飲料が売れている理由とは」掲載予定)
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