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第324話 団塊の世代、まもなく後期高齢者に シニアビジネス拡大へ

2022.11.02

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、ホテルのラウンジで投資談義を行っています。


T:先日、厚生労働省が国民年金保険料の納付期間を現在の40年間から45年間に延長することを検討するとの報道があり、話題となりました。日本の高齢化が進む中、国民年金制度の議論が活発化しそうですね。

神様:報道は10月25日に厚生労働省の社会保障審議会年金部会が開かれたことを受けたものです。私たちも度々触れてきましたが、日本の高齢化については「2025年問題」が目前に迫っています。

T:日本の国民の約1/5が75歳以上の後期高齢者になる「超高齢社会」を迎えるのが、2025年( 第226話 「2025年問題」目前 介護サービスに求めるものは? )ですね。

神様:1947年から1949年の第1次ベビーブームの時期に生まれた、いわゆる「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となるのが2025年です。さらに、日本の65歳以上の人口が推計で3,677万人となり、全体に占める割合が30%に達すると見込まれるのも2025年です。

T:国民の3人から4人に1人が65歳以上になるのですね。

神様:6月に公表された「令和4年版高齢社会白書」によれば、令和3年10月現在の65歳以上人口の割合(高齢化率)は28.9%です。これが、令和7(2025)年には30%を超え、令和47(2065)年には38.4%に達し、実に国民の約2.6人に1人が65歳以上になると推計されています。

T:この問題を政府はどう解決しようとしているのでしょうか?

神様:2025年問題で懸念されるのは医療費や介護費の増大、そしてそれに伴う現役世代の負担の増大です。また、働き手の不足も深刻化していきます。労働については、高齢者の就労促進が議論されています。法改正により、企業は70歳までの雇用確保が努力義務となりました。今後は現役世代の負担軽減のためにも、シニア人材の活用が重要視されます。

T:しかし自分が70歳近くになったときに、実際に仕事ができるかわかりませんし、体力的にも不安ですね。

神様:そういう人は多いでしょうが、高齢者のイメージも変わってきています。Tさんは「高齢者」の定義が何であるか、ご存知ですか?

T:高齢者の定義ですか…65歳以上の人、でしょうか?

神様:実は政府では、高齢者に対しての一律の定義はありません。各々の統計や制度などで定めている場合はありますが、高齢者がはっきりと何を指すのかは明らかではないのです。

T:え、そんな漠然としたものなのですか?知りませんでした。

神様:現代は65歳を過ぎても心身ともに健康で、仕事をしている人も増えています。昔の「おじいちゃん」や「おばあちゃん」のイメージが合わなくなってきています。ひょっとしたら、「高齢者」が指し示す年齢も上がっていくのかもしれません。

T:なるほど。65歳や70歳まで元気に仕事をしている人が当たり前になっている社会があるのかもしれませんね。

神様:実は高齢化は日本だけの現象でなく、今後40年で世界の高齢化は急速に進展すると見込まれています。日本は今、先進的な立場にいるのです。例えば暮らし面においては、今後は高齢者の一人暮らしが増加すると予想されます。特に65歳以上の男性の割合が高まると見られています。今後はますます、介護サービスや配食事業などの生活を支えるサービスの利用が増加するでしょう。これらは日本だけでなく、世界的にも将来必要とされるサービスとなる可能性があるでしょう。

T:なるほど。高齢者をターゲットとしたシニアビジネスの拡大は日本だけでなく、世界的にもニーズが高まっていきそうですね。一方で、介護事業などは賃金など労働環境の問題もあります。国の制度改革も注視していくことが大切ですね。

(この項終わり。次回11/9「円安・訪日外国人の復活もプラスに リユース市場の拡大続く」掲載予定)

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