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第226話 「2025年問題」目前 介護サービスに求めるものは?

2020.10.28

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、秋晴れの公園を散歩しながら投資談義をしています。


T:すっかり気温が下がり、過ごしやすい日が続いていますね。しかし、これから流行期に入るインフルエンザが心配です。

神様:予防接種をきちんと受けて、できる対策は行っていきましょう。特に、高齢者には風邪をうつさない心配りが大切です。今日は介護業界についてお話しましょうか。以前、「2025年問題」についてお話したこと (第152話 医療費抑制で活躍する企業) を覚えていますか?

T:はい。2025年には日本の国民の約1/5が75歳以上の後期高齢者になる「超高齢社会」を迎えるという問題ですね。医療費の増加が大きな課題でしたね。

神様:その通りです。介護にとってもこれは深刻な問題です。厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査」によれば、在宅介護において要介護者と主な介護者の年齢の組み合わせは、75歳以上同士の割合が33.1%。約3世帯に1世帯が75歳以上同士で介護を担っている現実が明らかになりました。

T:高齢者が高齢者の介護を担う「老老介護」が増加している、ということですね。

神様:日本では社会全体で「核家族化」や「高齢者の単独世帯化」が進んでいますから、要介護者のいる世帯構造で最も多いのは核家族世帯で全体の40.3%です。これは年々上昇傾向にあります。

T:要介護者の介護を子どもや配偶者が行っている家族は本当に多く、苦労している話を私も数多く聞きます。

神様:要介護者を介護する続柄は「配偶者」が23.8%と最も多く、次いで「子」が20.7%となっています。介護度が高くなるほど介護者の負担は増し、「ほとんど終日」介護に携わる場合、家族の負担は計り知れません。一方で、「事業者」の利用は12.1%にとどまっています。今後はますます介護サービスの重要度が高まってくるでしょう。

T:確かに、介護サービスは今後もっと多様化し、利用者も増えていくでしょうね。しかし、なぜ事業者を利用する介護は配偶者や子による介護より少ないのでしょうか?
 
神様:様々な要因が考えられると思いますよ。Tさんはどう思いますか?

T:要介護者の中には、デイサービス等を利用することを嫌がる人もいますし、介護者の中には自分たちの手で介護したいと思う人もいますよね。しかし、それだけではないように思います。

神様:サービスを利用するのにいくらかかるのか、どんなサービスを受けられるのか、得られる情報が十分ではないことも影響しているかもしれませんね。

T:介護事業と言えば、重労働なのに低賃金で、慢性的に人手不足に陥っているイメージがありますよね。私の知人で介護職に就いている人からも、若い人たちが少ないという話を聞きました。こういったネガティブな背景も利用することを躊躇している一因ではないでしょうか。

神様:そうなると、これは国全体の問題ですね。来年は、3年ごとに改定される介護報酬の改定時期にあたります。菅政権では「全世代型社会保障検討会議」を前政権から継承し、介護サービスの生産性向上について議論を行っています。新型コロナウイルスの影響もあり、今年夏までに最終報告をまとめる予定が今年末まで延期されましたが、これらの動向を注視することも、介護業界全体を考えるのに役立つかもしれません。

T:会議では、業務の改善やテクノロジーを活用した効率化、行政への文書提出の簡素化などが議論されているようですね。今後需要が伸びるのは明らかな介護業界、みんなが安心して利用できる介護サービスを期待したいところです。

(この項終わり。次回11/4「海外インフラ整備増 塩ビ樹脂出荷に回復の兆し」掲載予定)

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