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第227話 海外インフラ整備増 塩ビ樹脂出荷に回復の兆し

2020.11.04

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、鎌倉の海の見えるカフェで投資談義をしているようです。


T:11月に入り、今年も残り2か月を切りました。今年は時間が経つのが早く感じましたが、神様はいかがですか?

神様:私も同感です。前半は外出自粛期間が続いて目立った動きをしなかったこともあり、特にそう感じるのかもしれませんね。

T:一方で、経済活動の方はどうでしょうか?日経平均株価は上昇トレンドが続いているようですが。

神様:新型コロナウイルス感染症や米中の対立などへの注意は引き続き怠れませんが、世界的には2020年4月から6月を底に景気は回復に向かいつつあると思います。国際通貨基金(IMF)が世界経済見通し(WEO)を改定したところでは、2020年を4.4%のマイナス成長と予測し、前回6月時点の見通しから0.8%ポイント上方修正しました。世界各国の巨額財政出動が経済を支えている形ですが、7~9月期からは回復軌道に戻ったとみているようです。

T:世界的に見て、冬に向けて再びウイルス感染への緊張感が高まっている地域もありますが、景気は回復しつつある、ということですね。

神様:世界各国がウイルス対策と経済活動の両立に必死になっていることは確かです。

T:あとはワクチンの開発・普及ですね。IMFによると、2021年は新型コロナウイルスのワクチン普及が進むと見込んでおり、世界経済は5.2%のプラス成長になると予測していますね。

神様:予測が実現することを願って、今はしっかり耐えるとき、と考えましょう。最近の状況の一例を挙げれば、塩化ビニル樹脂の出荷に回復の兆しが出てきていますね。

T:耐久性や加工性などに優れている塩ビ樹脂は、住宅資材や水道管などに使用されますよね。ということは、インフラ整備関連の需要が回復しつつある、と言うことでしょうか。

神様:その通りです。2020年8月の塩ビ樹脂の出荷量は前年同月比5.4%増の13.7万トンと、3か月ぶりに前年同月を上回りました。国内出荷は前年同月比10.2%減の6.5万トンと減少しましたが、輸出が前年同月比24.7%増の7.3万トンと、2ケタの伸びでカバーした形です。

T:国内出荷が減少したのは、新型コロナウイルス感染症の影響というよりも昨年10月の消費税引き上げ後に住宅着工数が減少したことが大きいでしょうか?

神様:おっしゃる通りです。一方で、輸出が伸びているのは、中国やインドのインフラ整備向けの需要増が貢献しています。この影響により、東アジア地区の塩ビ樹脂価格も回復基調にあるのもポイントですね。今年10月には2014年10月以来6年ぶりの高水準になりました。

T:なるほど。現在は世界的に景気の回復は緩慢ではありますが、ワクチンの開発・普及が順調に進み、新型コロナウイルス感染症が収束に向かえば、景気回復の加速とともに塩ビ樹脂の出荷も加速しそうですね。来年こそは、前向きな一年になればいいなと思います。

(この項終わり。次回11/11「「2050年までに脱炭素社会」 日本に水素社会到来へ」掲載予定)

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